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私の存在価値 ページ20

「ごめんなさい…」


『悪いことじゃないから、気にしないの。

とりあえず今は、ゆっくり休みなさいね』


「はぁい…」




何度目だろう。

今週と言わず、先週から。

もう何度も、保健室のお世話になっている。

なるべく、授業に穴は開けないように。

無理してでも出て、休み時間に休ませてもらう。

こうしてるけど、授業中に限界を迎えるのも時間の問題だ。

とりあえず、体がしんどい。

理由は分かってる。

分かってるけど、辞められない。

もし、また太ったら…

次に太ったら、本当に後がない。

決まっていた仕事も、今後決まるかもしれない仕事もなくなる。

そしたら、私は…






「せんせ…っ」


『Aちゃん、大丈夫!?』


「きもちわるい…」


『戻しそう?』


「ん…っ」


『ちょっと待ってね、今袋出すから』


「うぅ…っ」


『今日はちょっと酷いね。

5時間目もお休みして、様子見ようか』


「んん…っ」


『お昼、なんか食べた?』


「…」


『朝は?』


「いや…」


『Aちゃん、食べてないのに吐いちゃうの?』


「どっちも…」


『食べても、食べなくても吐いちゃう?』


「ん…」


『食べなくて戻しちゃうのは、貧血の症状が強いからだと思う。

でも、食べて戻しちゃうのは…

それは、自分で敢えて戻しちゃうの?』


「怖くて…」


『太っちゃうのが怖い?』


「うん…食べたら食べただけ太るから…

でも、食べなきゃいけないし…」


『無理やり食べて、戻しちゃうんだ?』


「本当に胃が受け付けない時もあるけど…

基本的には、怖くて吐いちゃう。

カロリー摂ったら、その分だけ…っ」


『ごめんね、まだしんどかったね。

もう少し落ち着くまで、背中摩ってるね』


「ごめんなさい…」


『大丈夫だからね、ゆっくりでいいよ』




度重なる体調不良。

体は限界だと言っている。

それなのに、私の心がそれを止めてくれなくて。

もっと頑張れ、もっとストイックにって。

日に日に、食生活が偏っていく。

ママが作ってくれたお弁当も、ご飯も…

私の胃には、ほとんど収まっていないだろう。

小数点単位でのカロリー計算、グラムの測定、極端な偏食…

おかしいことは自覚してるのに。

止めるのが怖くて。

そしたら、自分の存在価値がなくなってしまいそうで。

止められなかった。

それは、私が弱いから。

もっと自分を管理して、認めてもらわなければ…

あっという間に、自分が自分でなくなってしまうだろう。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月23日 17時

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