検索窓
今日:8 hit、昨日:50 hit、合計:65,467 hit

ページ17

みんな、おかしいって思ってるのかな。

もっと食べろ、たくさん食べなって言ってくる。

玲奈さんも、痩せすぎって言ってたし。

でも、どうにも分からなかった。

痩せてるとは思うけど、別に病気じゃない。

痩せすぎなんて実感、全くない。

ママは何にも言わないから。

ずっとそう思って来たけど、最近はちょっと違和感もある。

それは…






『A、お弁当は?』


「あ、うーん…なんか食欲なくて」


『大丈夫?体調悪い?』


「ううん、そういうんじゃないけど…」


『でも最近、全然お昼食べないよね?』


「ダイエットしてたらさ、なんか胃が小さくなっちゃって。

あんまり食べられなくなっちゃったんだよね。

どうせ食べても太るだけだし、別にいっかなって思って」


『いやいや、やばいよそれ。

A、今かなーり痩せてるからね』


「…そうなの?」


『え、自覚してないパターン?』




太りたくないという気持ちが、明確にあること。

ダイエットのつもりだったけど、いつの間にか体が馴れてしまって。

食べなければ痩せる。

食べれば太る。

だったら、食べない方がいい。

そういう価値観になりつつあること。

これはまずい。

頭では分かってるのに、止められなかった。






「失礼します…」


『ごめんね、お昼休み中に』


「いえいえ、どうしました?」


『うん、ちょっと聞きたいことがあって』


「はい…」


『白橋さんさ、最近お弁当抜いてるって報告が来てるんだけど本当?』


「あぁ…まぁ」


『食欲ないかな?』


「それもある時はあるんですけど…

そもそも、食べるの怖くて。

だって、太るじゃないですか。

そしたら私、商品価値なくなっちゃうし…

痩せてないと、自分に自信持てないから。

怠けてる自分が映るの、嫌なんです」


『う〜ん…』


「…おかしい、ですよね?」


『おかしいと一概に言うことはしないけど…

このままだと、危険ではあるかな。

今はどのくらい食べてるの?』


「えっと…う〜ん」


『今朝は何食べた?』


「今朝は…」


『朝ごはん、食べてない?』


「…はい」


『昨晩は?』


「昨晩…なんだろう」




思い出せなかった。

母親に管理されなくなったから、食事だけは自由。

だから、自分をコントロールする。

ママが褒めてくれる私になるために。

ママに、アイドルやってて良かったねって認めてもらえるように。

空っぽな心を愛で満たすために、まずは分かりやすい見た目を磨くんだ。

愛に満たされたくて→←・



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
226人がお気に入り
設定タグ:乃木坂46 , AKB48 , アイドル
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月23日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。