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この悔しさは来年へ ページ11

2014年最後の日。

紅白歌合戦の日だ。

何とも言えない気持ちで、この日を迎えていた。

去年とは全く違う。

言い表せないもどかしさと、心の奥底に燻る悔しさ。

こんな気持ちで出ちゃ、絶対ダメなのに…

AKBさんのステージ。

1年に1度の晴れ舞台なんだから。




「あ、生駒ちゃん」


生駒「A、もうそろそろ行く?」


「うん、今からオープニング」


生駒「そっか、行ってらっしゃい」


「うん…」


生駒「大丈夫」




隣の楽屋から、それぞれのグループの円陣が聞こえた。

中でも、HKTさんの声は際立って大きく聞こえる。

キャッキャした声に、無性に虚しくなった。

やっぱりまだ、後悔の念は消えてはいない。

悔しさの引き出しも、溢れて止まらない。

全てを飲み込んで、スイッチを入れた。

大丈夫、私はアイドル白橋Aだ。




:




指原「Aちゃん、お疲れ様」


「さっしーさん、お疲れ様です」


指原「ここで見てたんだね」


「1番近くで見たかったので…

ごめんなさい、嫌な気持ちにさせたら」


指原「ううん、そんなことないよ。

私もAちゃんの立場だったら、同じことすると思うから。

予想通りで、やっぱりなって思って」


「キラキラしてました。

みんな、すごい仲良いんだなって…」


指原「うん、仲の良さはどこにも負けないと思う。

HKTは、48グループの中だと1番年下だからさ。

仲の良さくらいしか、武器にならないんだよね」


「フレッシュさじゃなくてですか?」


指原「フレッシュさを売りにするのは、いつか限界が来る。

それに、仮想の姿だからね。

やっぱり、中の部分がしっかりしてないと。

屋台骨が固まってないと、ちょっとしたことで崩れちゃうから」


「…ありがとうございます、さっしーさん」


指原「うん、何もしてないけど笑」


「すごい…心に響きました」


指原「えー、なんでー笑」


「何でもです笑」


指原「さ、そろそろ楽屋戻ろう。

AKBのステージ用に着替えなきゃだからね!」


「プラカード、何書こう笑」


指原「え、まだ決めてなかったの?」


「決めてたんですけど、今ちょっと変えようかなって」


指原「楽しみにしてるね笑」


「そんな期待しないでください笑」




とても、大切なことを教えてもらった。

グループを引っ張るとは、こういうことを言うんだ。

自分が、とかそういう考え方がダメなんだ。

独りよがりは反発を生む。

グループの屋台骨を作るための兼任なのかもしれない。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月23日 17時

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