夢の足跡 12 (ページ7)

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『とりあえず、食べた物は全部写真を撮って報告すること。

カロリー計算もちゃんとやるんだからね。

ママもアプリ入れて、連動して見れるようにしたから』

「うん…」

『それと、消費カロリーも計算してあげるから。

スマホのアプリ、ちゃんと起動させといてね。

あと、時間帯は徹底してね。

夜6時以降は、炭水化物NGだからね。

別に体重が落ちれば食べていいから』

「分かった」

『でも、全く食べないのはダメだからね。

それは逆に、太りやすい体質になっちゃうから。

大丈夫、昔は出来てたんだから。

新体操やってた時を思い出して。

あの時のAは、すごく可愛かったよ』

「うん…！」

『ママの娘なんだから、大丈夫。

出産してすぐ、この体型に戻せたんだから。

それからずっと、BMI16をキープしてるし。

Aにだって絶対出来るからね』

「うん」

『そしたら、専属のオファーも来る。

握手の売上だって上がるから。

ちょっとした意識なんだから、頑張るの。

そういうのも全部覚悟して、アイドルになったんでしょ？』

「そう」

『じゃ、頑張らなきゃ』

「はい」

翌日、起きたらママは元に戻ってた。

朝ごはん抜きって言われるかと思った予想は外れた。

むしろ、かなり作り込まれてる。

栄養バランスとボリューム、どちらも満点だ。

発言といい、この食事といい、こりゃ相当気合い入ってるな…

とりあえず、少し痩せればいい。

:

『あれー、Aお弁当小さくなった？』

「あー、一回りね。

ご飯が玄米に変わって、おかずメインになったの」

『おかずって、ほとんど葉っぱじゃん』

「野菜中心かなぁ、しばらくは」

『なんか仕事？』

「んー、まぁ仕事っちゃ仕事？

ダイエットってやつよー、あるでしょ？」

『まぁ、よく聞くけどさ。

でも、ほんと気をつけてよー？』

「うん、ありがとう」

『ただでさえ、痩せてるんだからね？』

「まぁそうなんだけどさー」

『アイドルって仕事してるからね。

ちょっとした変化でも、色々言われちゃうしね』

「うん、そーなの」

『…え、写真も撮るの？』

「食べた物、全部ママに報告するルールだから」

『マジか、徹底してるねぇ』

お弁当の内容も変わった。

ヘルシーだけど食べ応えがあるメニュー。

朝ごはんとは、1つも品物が被ってない。

冷凍食品なんて、言語道断。

ママがこれだけ頑張ってくれてる。

本人である私が、頑張らないわけいかなかった。