夢の足跡 12 (ページ48)

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『松村さんの件について、白橋さんはどう思いますか？』

「そりゃあ…怒りはありますよ。

さゆりんにも、相手の方にも、記事にも。

あと、自分に対しても。

けど、ぶつける所が分からなくて。

みんな悪くて、でも全部悪いわけじゃなくて。

だから、う〜ん…難しいですね」

『難しい？』

「さゆりんには、さゆりんにしか分からない悩みがあって。

だからって、あんなことするのは絶対まずかった。

そこに対しては怒ってますよ。

どうして、軽率な行動したんだって。

乃木坂のことは、頭に浮かばなかったのかって」

『うん』

「人それぞれ、悩みの大きさとか深さって違うとは思うけど。

でも、選抜とアンダーっていう括りで見たら、さゆりんはずっと選抜で。

そこを目指してても叶わない子はたくさんいて。

さゆりんは恵まれてる側なのに、自分が1番辛いってなっちゃってるのは…

うん、もう少しそうなる前に踏みとどまって欲しかったなとは思います。

燻らずに頑張ってる子の気持ちを踏みにじる行為だったってことは、少なからずあるので。

そこに対しても、ちょっと怒ってます」

『なるほど』

「正直、相手の方は擁護出来ないですけど…

でも、そこは松村も同じです。

同意があったなかった、知ってた知らなかった関係ない。

やってしまった、それは事実です。

だから、その事実に対しての責任は半々だと思う」

『うん』

「記事はまぁ、内容こそ酷いですけど。

けど、偽りの写真を載せたわけではない。

ちょっと誇張して、こっちが悪いってされてるのは…

そりゃあ、面白くないですけどね」

『じゃあ、自分には…？』

「それは…さゆりんにとって頼れる存在になれてなかったってことだから。

相談されても、本当に心を救う言葉をかけられなかった。

私は、何度もさゆりんに助けてもらったのに。

辛い時に、そういうことするんじゃなくて、まず友達に相談って。

そういう発想の中に、私はいなかった。

そんな自分が悲しいし、悔しいです」

『なるほど…』

ドキュメンタリーの撮影です。

そう言われても、ずっとこれまでコメントを避けてきた。

自分の気持ちとママの気持ちの区別が付かなくて。

私の中で、あの悪魔の叫び声がコダマして。

自分の言葉になって一生残ってしまうのが怖かったから。

けど、今日の落選を受けて…

今なら言えると思った。

このタイミングで言わないきゃと思った。

そして今日、初めてこの件で取材を受けた。