ここに立つ資格はない ページ39
高橋「A、おはよう」
「おはようございます。
一昨日はすみませんでした…!」
高橋「ううん、全然いいのよ。
体調は?大丈夫そう?」
「ん〜、正直あんまり良くはなくて…
昨日の夜、点滴受けて来たんですよね」
高橋「およよ、マジか…」
「でも、おかげで眠れたので…
今日は割とスッキリしてるので大丈夫です。
家にいる方が、今はキツイので。
コンサートに出てた方が、気も紛れて安心します」
高橋「それならいいけど…
絶対に無理は禁物だからね?」
「はい…!」
コンサート当日になった。
正直に言って、体調が良いわけではない。
点滴受けたけど、それも気持ち程度で。
やっぱり、心が完全には治ってないから…
まぁでも、ステージに立てるくらいには復活した。
多分大丈夫。
お医者さんとも話して、そう思えるようになった。
コンサートはお仕事。
集中して、いつも通りやろう。
:
横山「それじゃあ…A。
ここまでやってみてどうだった?」
「そうですね、今回初めてやらせてもらうユニットもあって。
緊張もあったんですけど、練習の時からすごく仲良くて。
今日も、いつもの雰囲気のまま出来たんじゃないかなって思います」
横山「うん、めっちゃ可愛かってんな」
「ありがとうございます〜笑」
ステージに立てば、いつも通り出来る。
大丈夫、大丈夫。
自分の胸を軽くこずいて。
勇気を与えて、立った場所。
見えた景色は、何ら変わらない…ように見えた。
違う。
何かが違う。
雰囲気だけじゃない。
具体的には……そうだ、これだ。
『AKBを汚すな』
初めて見た、ボードメッセージ。
何度か見た事のある人だった。
多分、ずっと前からAKBさんを応援して下さってる人。
乃木坂が兼任することも、面白くは思ってなかったんじゃないかな。
今までは許してくれてたけど、今回はね。
先輩の立場からしたら、こう思うのも無理ないと思う。
まして、村外の人間の間違いなんてね…
横山「…ね、A!」
「あ…はい!ですね!」
横山「今、絶対聞いてなかったやろ〜笑」
「えー、聞いてましたよ笑」
横山「いーや、どうだか笑」
「はい、じゃあもう次行きましょ!」
ボードを凝視して、呆気に取られていた。
いけない。
ハッと我に返って、自分を叱咤する。
本当に私は、ステージに立つ資格があるのか?
きっと、ない。
いっそのこと、未練のないよう剥奪して欲しかった。
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月18日 10時