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高橋「由依、どうした?」


横山「たかみなさん、Aが…!」


高橋「おっと…A〜?

聞こえるかな?大丈夫かー?」


「…ヒックハァハァハァハァ」


高橋「やばいな…ごめん、袋と水貰ってくれる?

それと、タオルもあったら持ってきてほしい」


横山「分かりました!」




薄れゆく意識。

ぼんやりとした頭の中で、小さく謝罪した。

声にはならなかった。

あぁ…今日はダメだ。

もしかしたら、明日もダメかもしれない。

瘡蓋はまだ、治りかけで。

剥がしたら、血が止まらなくなった。

時間が経っている分、記憶に刻まれた傷は痛みも深い。




「たかみなさ…ハァハァ」


高橋「どうした〜?」


「ごめんなさ…ヒックハァハァ

わたし…全然…ハァハァハァハァ」


高橋「A〜、今はお話しなくていいよ〜

大丈夫だからね、すぐに楽になるよ。

一緒に深呼吸しようね〜」


「ヒックハァハァ…ハァハァハァハァ」


高橋「ゆ〜っくり深呼吸してごらん?

Aのペースでいいからね〜」




私には、何もない。

人として欠落している。

この一言は、かなり効いた。

そんな人がステージに立っていいのか。

そんな人がアイドルでいいのか。

答えは、Noに決まってる。

ただただ怖かったのだ。




:




高橋「うん、落ち着いて来たかな…」


横山「ごめんね、A」


高橋「何があったの?」


横山「Aがしんどそうで。

私が、隠さないで話しなって急かしちゃったんです。

きっと、話したくないこともあったやろに…

それで、追い詰めてしまって…」


「違うんです、由依さんは悪くないんです。

悪いのは…悪いのは、私だから」


高橋「どうした?」


「仲良かったんです、さゆりん。

その日も、悩みを相談されていて。

でも私、何にも返せなくて…

何にも言えなくて、その後に…」


高橋「その日だったんだ…」


「私は、人の気持ちが分からないんです。

自分のことしか考えられない、酷い人です」


高橋「そんな…」


「そうなんです。

私、本当に最低なんです…!」


横山「それはちゃうで。

Aは、ちゃんと周りのこと考えてるやんか。

そんな…素敵な子やで?」


「…ヒックヒック」


高橋「…A、おいで」




自信がなかった。

欠陥品だと思う、自分のこと。

それでも、等しく人の温もりは優しくて。

安心して、生きていて、涙が出た。

私は今、確かに生きている。

でも、この先は…

進む道は、真っ暗だった。

私なんかいなくてもいい→←瘡蓋は時限爆弾で



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月18日 10時

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