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『ここまで言われたら、さすがに反省した？』
「しました…ごめんなさい」
『そう思ってるなら、なんで最初からそう言えないの。
どうして日頃から、そういう言葉が出ないの。
まぁ、言葉は人から強制されて出すもんじゃないけどさ。
Aの場合は、多少厳しく言わないと出ないから。
しょうがないわね、あなたは人間性以外の武器で勝負してるんだから』
「すみません…」
『あなたの人気が伸び悩んでる理由は、その人間性にあるんだからね。
今回の件で分かったでしょ？
いい加減自覚して、改善するために努力しなさい。
じゃないと、あっという間に堕ちるとこまで堕ちてくからね』
「はい…」
痛すぎる言葉の槍は、やっと戦闘威力を喪った。
心は、傷だらけの荒野だ。
何にも考えられなかった。
全てを放棄して、なかったことにしたかった。
でも、記憶からは絶対に消せない。
こんなに生々しい傷がついたのは初めてだ。
落ち着いた声のトーンは、終戦を意味する。
それなのに、私の体はまだ震えが止まらなかった。
脂汗が全身を伝って、吐き気も増す。
倒れる1歩手前の状態で、最後の言葉を受け止めていた。
『とりあえず、もう松村さんと付き合うのは止めなさい』
「え…」
『当たり前でしょ。
これ以上一緒にいて、何のメリットがあるの？
あんただって、ほぼ共犯みたいなもんなんだよ？
悲劇のヒロイン気取りだけど、あんたが松村さんの手を離したんだからね。
SOSを踏みにじったから、あんな馬鹿な行為に走ったんだからね。
それなのに、庇うような真似…
味方ですって言ってるようなもんでしょ』
「でも…」
『松村さん1人の人生と、乃木坂を応援してくれてる人の信頼。
あなたのことを応援して、時間と労力とお金を費してくれてるファンの方。
どっちを取るかなんて、言わなくても分かるよね？
あんたはあくまでも、乃木坂のエースなんだからね。
これ以上バカな真似をして、周りの人を失望させないで！』
「…はい」
『いい、いつも仲良くするだけが優しさじゃないの。
そんなの、仲間でも何でもない。
どうせ勝手に辞めてくんだから、これ以上余計なことしないのよ。
そうやって、自分自身の首絞めてくだけなんだから』
「うん…」
優しさってなんだろう。
人望とは、人間性とか、なんだろう。
あれほど、人格にこだわっていたのに。
矛盾だらけだ。
でも、私の心はそれ以上に傷だらけだ。
生きるのが怖かった。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年2月18日 10時
