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『じゃあ、あんたのせいで撮られたんだ？』
「え…」
『あんたが相談に乗らなかったから。
あの人は追い込まれて、こんなはしたない行為に走ったのね。
乃木坂を裏切って、全てを失って。
じゃ、あんたも加害者だ。
エース面しときながら、結局は乃木坂を裏切ったんだね。
あの人の人生までも奪って、めちゃくちゃにして。
あんたって、ほんっと最低だよね』
「いや、そういう…」
『でも、そういうことだよ。
なんでさ、こう…スパッと切れないの？
もう、あんな子のことなんかいいじゃん！
あんたにとって大切なのは、不倫した1人の女の子とグループとどっちなの？
そんなの、答え出すだけバカみたいじゃない。
あの子はね、勝手に風紀を乱して1人で堕ちて行ったの。
同情の余地なんかないよ、そういう運命だったの。
あんな子、どうせ落ち目だったんだよ』
私のせいで。
そう言われると、即答出来なかった。
それは怖かった。
ずるいと思う。
酷い人だ、偽善者だ。
自分のことを責めそうになったその時、ママからとんでもない言葉が飛び交った。
次々と降ってくる。
頭からつま先まで、鋭い刃で傷つけられてズタズタだ。
ここまで痛みに溺れると、もうどうでも良かった。
プツンと、私の中の何かを切られた。
恐らく、これが致命傷だと思う。
「ママに何が分かるの？
さゆりんの何を知ってるの？
どうして何も知らないのに、そんな酷いこと言えるの！」
『何も知らなくなんかないよ？
自分のことしか考えてない、わがままな子だったってことで
しょ？
普通、どんなに悩んでても不倫なんかしないから。
そんなことしてたら、世の中まともに生きて行けないわよ。
だいたいね、芸能人って甘すぎるんだよ。
一般社会を知らなすぎるの、だから常識ないって言われるんだよ。
あの子より悩んでる子なんて、世の中にたくさんいるよ。
それこそ、グループの中にだっているよ。
ずっと選抜でいさせてもらってるだけ、有難いと思いなさいよ。
何の取り柄もないくせに、図々しく居座って。
前から気持ち悪いって思ってたんだよ。
ぶりっ子キャラもさ、もう痛いの。
年相応じゃないんだよ、やってることが。
だから、あの子だけ落ちこぼれるの！
だから、世間から受け入れてもらえないの！』
私の母親は、悪魔のような人だ。
初めて憎いと思った。
理性がなかったら、殴りかかってる。
それほどまでに、感情が揺さぶられて吐きそうになった。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年2月18日 10時
