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白石「さゆりんが撮られたって、どういうこと?」


「いや、私も詳しくは…」


白石「なんで今…っ」


「うん…」


白石「これから来るって?」


「謝りに来るみたい…」


白石「みんな…怒ってるよね」


「そりゃあ、みんな怒ってるよ。

特に、アンダーのみんなはね…泣いてたし。

許せないよね、選抜にいながらスキャンダルって。

私も…うん、許せないけど…」


白石「けど…?」


「自分のことも許せないから。

さゆりんだけを責めることは出来ないな…」


白石「A…」




外仕事で遅れてきたまいやんが、事情を知って飛んできた。

怒ってるような、悲しんでるような、複雑な顔。

私とまいやんでは、立場が違う。

親友としての立場なら、私ももっと複雑に揺れていたはずだ。

みんな大なり小なり、怒りはあるだろう。

ただ、その他の感情が入り乱れて、混乱して。

現場は、見たことないくらい殺伐としていた。

一言で言うならば、地獄。

そんな地獄への扉が、ガチャりと重い音を立てて開かれた。






松村「あの…っ

今回は本当にすみませんでした…っ!

この記事は、本当なこともありますが、嘘の内容もあります…

全部が本当ではないです…っ

けど、誤解を招くことをしてしまったのは本当だし…っ

写真を撮られてしまった以上、乃木坂に迷惑をかけてしまうので…

大切な時に、本当にごめんなさい…っ!

本当に今は、謝ることしか出来なくて…

ごめんなさい…ごめんなさい…っ!」






私たちはこっち側だから、感じなかったのだと思う。

けど、さゆりんには今、視線が刃となって刺さっているだろう。

きっと、彼女の繊細な心はズタズタに切り裂かれているはずだ。

本来なら、抱きしめたい。

駆けつけて、辛かったねって。

そう言ってあげたいのに…

どうにも動けなかった。

理性じゃない。

本能が、確かに怒りを認知していたから。




『今後に関しては、今話し合ってる最中です。

みんなには、迷惑かけちゃうと思うけど…

松村のこと、支えてあげてほしいです』


松村「ごめんなさい、ごめんなさい…っ」


『それじゃ、話は以上だから』




そうは言われても、誰も動かなかった。

崩れ落ちそうなさゆりんを見ても、誰も駆け寄らなかった。

あぁ、友情とは脆いものなのか。

それとも、私たちが仲間になり切れていなかったのか。

いや、仲間だからこそなのか。

沈黙の空間が、何よりも重たかった。

地獄はまだ、始まったばかり。

私が手を離したんだ→←止まった歩み



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月18日 10時

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