気の緩みは失敗へ ページ39
『野外はとにかく広くて暑いから！
1人1人が意識を高く持って動いて下さい！』
「「はい！！」」
『湿度や怪我にも十分気をつけて。
本当に、気持ち引き締めないと大変だからね。
集中して本番までやって下さい！』
「「はい！！」」
そう、元気に返事をしたはずだったのに…
初めての野外ステージ。
その大きさ、広さ、暑さに圧倒されていた。
あまりの大きさに、まず興奮が収まらない。
キョロキョロと、集中が続いていなかった。
そして、広すぎて覚えきれない。
導線、移動、立ち位置…
目まぐるしく変わるそれに、置いてけぼりになっていた。
そして何よりも暑い。
気温も湿度も高く、時間がかかればかかるほど体力が奪われる。
リハーサルどころではなくなっていた。
:
星野「次ってどこだっけー？」
北野「えー、知らなーい」
「次はセンターステージね」
優里「わー！めっちゃひろーい！」
和田「あっちの方まで見えるよー！」
「あそこはモニター入るから、お客さん入んないよ」
飛鳥「ねぇ、てか絶対日焼けするんだけど…
え、こんな暑いのにずっと外なの？」
万理華「そりゃ野外だからねぇ。
あーでも、もっと対策してくれば良かったぁ」
飛鳥「できるだけ日陰にいよっと」
「今からそんなんで、本番どうすんの…」
そりゃあ、ツアーは何週間もやってるからさ。
気持ちはもちろん分かるよ。
神宮は最後の公演。
気の緩みも、夏の疲れも出てる。
気持ちが切れかかるのも分かるけど。
この緊張感じゃ、ライブは確実に失敗する。
私は知ってる。
野外ライブの恐ろしさと、危険を。
1人1人の意識の高さが、成功への鍵だということも。
星野「疲れたぁ」
優里「ねー、疲れたねー」
桜井「まぁね、疲れるよね。
でもさ、神宮でやらせてもらえるってすごいことだから。
ここ乗り越えたら、きっとすごい景色が待ってるよ」
星野「そうだよねぇ」
優里「あー、早く本番になってほしいなぁ」
和田「ねー！楽しみ！」
北野「どんな感じになるんだろうね〜」
若月「楽しみだね。
そのためには、もっと練習しないとね」
生駒「ほら、飛鳥もこっち来て！
みんなで確認するのに、出来ないから！」
飛鳥「はーい」
生駒「ほら、ダッシュする！笑」
私は、漠然とした恐怖感に襲われていた。
このままじゃダメだ。
そう分かってるのに、動けなかった。
まるで、放っておけと脳が命令しているみたいに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年2月11日 23時
