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『悪いけど、アイドルなんてバカばっかりだよ？
芸能人なんて、ほとんどそうなんだから』
「いや、それは…」
『でも、あんたは違う。
受験して、実力で入ったのに…
蓋を開けたら、その辺の子達と同じレベル。
いや、何なら負けてるしね？
そんなことなら、わざわざ私立なんて行かなくても良かったじゃん。
高い学費払って、ギリギリの状態でさ…』
「え…」
ママが行けって言ったんじゃん。
この言葉も飲み込んだ。
火に油は注がない。
別に、今から辞めてもいいよ。
本気でこう叫べたら、どれだけ楽なことか…
『勉強だけじゃないよ、緩んでるのは。
ななみんのことだってそう。
あんた、何にも知らなかったんでしょ？』
「だって、ななみん何も言ってなかったもん」
『それでも普通気づくでしょ。
友達なら、異変くらいすぐ分かるでしょ』
「それは…」
『なんで気づかなかったの？
それは、大して大切だって思ってなかったからでしょ？
ななみんのこと、本気で大切だって思ってなかったから。
そんなんだから、ななみんも言えなかったんだよ』
こればっかりは、本当に分からない。
言わないだけで、本音ではそうだったのかもしれない。
私が大切に思ってないっていうのは、大嘘だけれど。
ななみんに届いてなかったら、それは焼け石に水だ。
『ほんと…酷い子だよね。
なんて言うか…愛がないなって思うよ。
ななみんに対してもそう、ママに対してもそう。
これだけやってもらって、Aはママに1つも感謝しないもんね』
「そんな…」
『ママには伝わってないよ。
Aはいっつも、やってもらって当たり前。
家のことも、スケジュールのことも。
ななみんに対しても、助けてもらって当たり前。
自分からは絶対助けないもんね』
「いや…」
『ほんと、ママがいなかったらどうやって生きてくの？
そういうことさ、もっとちゃんと考えた方がいいよ』
「うん…」
『ほら、すぐそうやって。
都合悪くなると、すぐ仏頂面してさ。
何か言いたいことあるなら言えば？』
「いや……ごめんなさい」
『ななみんのことも、もっと大切にしなよ。
いっつも、あんたのために色々やってくれてさ。
それなのに、何にも返さないで。
そんなんだと、いつか友達失うよ？』
「はい…」
最短ルートは、全部聞くこと。
あぁ、貝になりたい。
どんな鋭い刃からも守る、硬い殻が欲しい。
それが無理なら、鉄壁の鎧でもいいや。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年2月11日 23時
