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『ちょっと!待ちなさい!

いいから、リビング来て座って!』


「なに…」


『そもそも、あんたの人間性に問題があるんだからね。

分かってるの、あの総選挙の特集。

あれは、生駒ちゃんがいたから組んでもらえたんだよ?

去年も一昨年もなくて、今年だけあって。

それってさ、生駒ちゃんもいたからでしょ?

Aだけじゃ、応援しようって気が起きなかったってこと。

それ、ちゃんと分かってんの?』


「…」


『黙ってないで、何か言ったら?』


「あれは…みんなも余裕がなかったから。

別に、応援してもらってなかったわけじゃないよ?

みんなも言ってたじゃん」


『違うよ、あれは建前。

本音と建前の違いも分からないの?

Aがそういう性格だから、応援してもらえなかったんだよ。

そうやって、自分だけいい気になってさ。

自分のことしか考えてないから』


「別にそういうわけじゃ…」




火種は、思ってもみなかった方に飛び火した。

まさか、ここでこの話題を出されるとは…

言われなかったのが奇跡だとは思うけど。

心の中に、どす黒い染みが浮かぶ。

そしてまた、消えて。

あぁ、やっぱり消えない。

でも、それを吐き出しもしない。

吐き出したら、それは鋭い刃となって返り討ちにあうから。




『ほーんと、あんたって嫌な奴。

自分だけ良ければそれでいいんだね。

疲れたから何もしない。

人気だから驕る。

後輩にも、全然人望ないし』


「それは…」


『だから、生駒ちゃんが兼任したんだよ』


「…」


『Aの負担がとか言ってるけど、あんなの後付けだから。

Aだと用足りないから、生駒ちゃんが呼ばれた。

人望もあるし、センター経験もあるしね。

人としても、あの子はできた子だから』


「…うん」


『ママ、Aをそんな子に育てた覚えないよ?

それともなに、ママの育て方間違ってた?』


「いや…」


『でも、全然納得いってなさそうだけど。

仏頂面しちゃってさ、可愛くない』


「そうじゃな…」


『はいはい、じゃあママが悪かったのね。

どうもすみませんでしたー』


「ねぇ、なんで…」


『もう知らないから。

そんなにママが嫌なら、もう全部自分でやったら?

料理も掃除も洗濯もぜーんぶ。

どうせ、あんたはママがいなきゃ生きていけないんだから』


「…ごめんなさい」




あぁ、もう心が折れそうだ。

今日はダメだ。

この鉛を抱えたまま、泥舟に沈むとしよう。

どこまでも続く、底なし沼に。

私は最低だ→←・



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月11日 23時

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