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天国から地獄へ ページ7

季節は11月。

もうすっかり冬景色だ。

風の香りが、秋の残香を全てかっさらって行った。

そして、私の平穏までも…






『…A!』


「…なに?」


『期末テスト、返って来たんでしょ!』


「あ、うん…」


『返って来たなら、すぐ見せない!

それが子供の義務でしょう!

全く、誰が私立の高い学費払ってあげてると思ってるの!』


「ごめんね…今見せようと思ってたの」


『言い訳はいいから、早く出しなさい!』




今、嘘をついた。

本当はテストなんか、見せる気なかった。

言われなかったら全部は見せなかったと思う。

見せられない。

そう言った方が正確か。

まぁ、バレるのも時間の問題ではあったんだけど。

私の考えは、いつもいつも浅はかだ。




「はい…」


『…何これ』


「ごめんなさい…!」


『1学期まで、数学は90点以上しか取ったことなかったよね?

理系だから、数学は得意だって先生も言ってたよね?』


「今回、苦手な範囲で…」


『言い訳はやめなさい!』


「ごめんなさい」


『何なの、この点数は。

74点なんて、今まで取ったことないじゃない。

どの科目でもなかったよね?

よりによって、数学で取るなんて…

得意科目でコケたら、カバー出来る所がなくなっちゃうでしょ!』


「…ごめんなさい」




大幅に点数が下がったから。

他の科目は、いつもと大差なかった。

だけど、数学だけ著しく出来なかった。

得意科目だっただけに、尚更痛い。

この下がり方は、確実に順位にも響いてくる。

怒られるって分かってた。

だから、出すのを躊躇っていたのだ。




『他の科目が、際立って良いわけじゃないんだよ?

それなのに数学…ほんとどうするの!』


「…」


『今からこんなんじゃ、これからもっと下がるよ?

高校進学も、特待クラスで出来ないからね?』


「ごめんなさい…」


『特待への進学を目指してるんでしょ?』


「うん…」


『特待クラスになれば、もっと大学進学が楽になるんだからね。

そのためには、今から勉強しなさいって言ってるの。

ママ、間違ったこと言ってる?

言ってないよね?』


「うん…」


『じゃあなんで、ママに言われる前にちゃんと勉強しないの!』




間違ってない。

ママは、何一つとして間違ってない。

言い訳なんか出来ない。

どっちも頑張るって言ったのは私だ。

そして、約束を破ったのも私。

なんで、こんなにいつも地雷ばっかり踏むんだろう。

愚かな自分に腹が立つ。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月2日 11時

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