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お城の主の激昂 ページ46

女王様のご機嫌は最悪だ。

最悪なんてもんじゃない。

もう、手の施しようがない所まで来ている。

私でさえ、どうしたら良いのか分からない。

だって、今は事務所の会議室。

隣で激昂してるお城の主を、私は冷めた気持ちで眺めていた。

いや、魂など抜いてきたのかもしれない。

そうじゃないと、心身諸共火あぶりの刑に処されるから。




『前作、あれだけ失敗だったのをご存知ないですか?』


『それは…』


『だから今回、別の子をセンターにしたのかもしれませんけど。

でも、それで良いんですか?

全然使えなかったから、とりあえず別の子に差し替える。

2期生はとりあえず、そのまま放置。

そんなんで大丈夫なんでしょうか?

あの子達をそのままにしておいて、それでグループは大丈夫なんですか?』


「ママ、2期生も頑張ってるんだし…

それに、今それとこれとは関係ないし…」


『いーや、あの子達は挨拶しなかったよ。

私や1期生のお母さんが、楽屋に挨拶に行っても。

最年長の方しか来ませんでした。

みんな、私のことなんか見えてなかったんでしょうね。

しっかり名前は名乗ったんですけどね。

これって、本当にちゃんと育成出来てるんですか?

お仕事でやってるはずなのに、ろくに挨拶も出来ないで大丈夫なんですか?』


『それは大変、失礼致しました…』


『うちの子より、みんな年上ですよね。

年齢の問題じゃないことは分かってるんですけども。

そんなグループだと思われます、乃木坂全体が。

それで事務所はいいんですか?』


『いや…』


『うちの子の指導が悪いですか?

もっと厳しく言わせるべきですか?

だいたい、1期生も甘すぎるんですよ。

人見知りだとか何とか言って、まともに話しかけないか、友達感覚で馴れ合いみたいに仲良くして。

うちの子だけ、何でこんな大変な思いしなきゃいけないんですか』


「ママ、私は…」


『あんただって、優しすぎるからいけないんだよ!

元はと言えば、あんたが怒られたんだからね。

乃木坂の子は元気が足りないって。

それで、あんた自身も仕事を失う危険があるの。

そういうこと、ちゃんと分かってるの?』




ミニライブの後だった。

たまたま、楽屋に来ていた母親。

事務所の偉い方に、私が呼ばれてるのを聞いちゃったらしい。

見学に来ていた、2期生の態度について。

それを見た母親がご立腹なのだ。

以前から面白く思ってなかったのが、爆発したらしい。

もう手が付けられなかった。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月2日 11時

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