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発表はまたしても、2列目から。
でも今回は、福神が5枠だ。
過去最高に少ない。
フロントの5人だけが、福神メンバー。
私はここに、入れているだろうか。
一抹の不安が過ぎったが、2列目では名前を呼ばれなかった。
3列目でも。
そして、残すは1列目だけになった。
『…生駒里奈』
最初に呼ばれたのは、生駒ちゃん。
1番前にいる姿は、もう随分見てないような気がした。
それくらい、生駒ちゃんは乃木坂の顔だ。
センターという重圧から解き放たれた横顔。
前より逞しく、そして柔らかかった。
『…白橋A』
「はい…」
そして、呼ばれた。
今回は、フロントの1番端。
生駒ちゃんとシンメだ。
私は、同じくらい逞しくなれているだろうか。
『Aちゃん、おめでとうございます』
「ありがとうございます…」
『フロントで呼ばれてみてどうですか?』
「そうですね、今回は5枠だったので…
少ないな、入れるかなって不だったので…
今ここで名前を呼んでもらって、やっぱり感謝の気持ちが強いです。
私、今すごく、自分に自信がなくなってる時で…」
『えぇ、どうして?』
「う〜ん…変わらなきゃいけない時というか。
頑張らなきゃいけない時というか。
今まで積み重ねてきたものを、しっかりと見せなきゃいけない。
そんな風に思ってるんですね。
でも、活動してると出来ない所にばっかり目がいって。
自分の弱い所とか、ダメな所が目に入って…
そういうのばっかり気になって、落ち込んで。
本当に成長出来てるのかな、大丈夫かなって。
自信がなくなってる気がします」
『へぇ、そうなんだ。
なんか…Aちゃんにもそんな時期あんだね』
「見せてなかっただけで、結構ありますよ」
『確かに、見てこなかったね』
「うん…なかなか言えなくて」
『そうだよね、言えないよね。
1番前の人って、言い難いこといっぱいあるよね』
「けど、やっぱりこの場所に選んでもらったからには頑張りたいし。
この期間で自信を付けられるように、成長したいと思います」
『うん、偉い偉い!』
『ちゃんと自分で頑張るって言えるのがね、もう強さだから』
「ありがとうございます」
『頑張ってね』
「頑張ります!」
優子さんの卒業は、私にとって大きな試練。
ここで自立出来なかったら、私はこれ以上の成長は出来ない。
もちろん、グループを引っ張ることも。
だから、自信がなくても跳ばなきゃいけない。
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月2日 11時