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桜なんか見たくない ページ31

年が明けてすぐ、春シングルの選抜発表があった。

大好きだった春曲。

毎年、どんな曲かなってワクワクしてた。

それなのに今年は…

こんなにも、春が来て欲しくないと願ってしまう。

暖かくなんなならなくていい。

ずっと寒くていい。

桜なんか、見たくない。




小嶋「A、ポジション出てるから見においで」


「こじはるさん…」


小嶋「もぉ、今から泣きそうじゃ〜ん笑」


「だって優子さん、最後だから…」


小嶋「でもほら、A見て?

最後に優子さんの背中、1番よく見えるよ」


「えっ…」




今から泣きそう。

卒業発表から、結構時間は経った。

気持ちは切り替えてきたつもりだった。

でも全然ダメ。

現場を前にすると、寂しい気持ちが抑えきれない。

私って、こんなに感情的だったっけ…

半泣きになりながら見に行ったフォーメーション表。

私の場所は、2列目の裏センターだった。

しかも、こじはるさんとシンメ。

私にこんな素敵な位置は、あまりに勿体なさすぎる。




小嶋「隣よろしくね〜」


「…わたし、こんなっ」


小嶋「最後に優ちゃんの背中、いっぱい目に焼き付けなってことだよ」


「…はいっ」


小嶋「うん、いい子だねぇ」


「こんな素敵な位置…」


小嶋「Aの一途な思いが届いたんだよ。

多いしね、2人のペア好きなファン。

陽菜の卒業の時も、何かやって欲しいんだけど笑

だって、Aは一応、こじゆうのファンだからね」


「一応じゃないです、しっかりファンです〜」


小嶋「ありがと笑」




普段通りのこじはるさん。

絶対に寂しいはずなのに。

こじゆうで仲良くしてたから。

私なんかよりずっと寂しいはずなのに。

それすら感じさせず、私のフォローまで…

これが経験値ってやつなのか。

別れを経験すると、人は優しく強くなるって聞いた。




小嶋「優ちゃんも、嬉しいだろうなぁ。

Aが後ろにいてくれて。

こないだのヘビロテも、すっごい喜んでたんだよ」


「そうなんですか?」


小嶋「ついにAも、ここまで来たかぁって。

別に、優ちゃんだけが育てたわけじゃないのにね笑」


「…嬉しいです」


小嶋「寂しい気持ちも分かるよ。

みんなも受け止めてくれる。

だから、あんまり無理せず頑張ってこ」


「はい…!」


小嶋「よし!じゃあお着替えしに行こう」




こじはるさんのおかげで、涙は止まった。

やっぱり最後は、笑顔で見送りたい。

優子さんが喜ぶこと、最後に全部やるんだ。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月2日 11時

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