あの日の再来 ページ8
君の名は希望の握手会、最終日。
今日、ここでガールズルールのお披露目がある。
選抜メンバーが呼ばれて、ステージに並ぶ。
新センターのまいやんが挨拶する。
この流れで進むことになっていた。
『以上が、ガールズルールの選抜メンバーになります。
ここで、新センターの白石麻衣よりご挨拶させて頂きます』
白石「はい、白石麻衣です。
この度、ガールズルールでセンターを務めることになりました。
初めてのセンターポジションということでですね…
選ばれた当初は、すごくプレッシャーでした。
でも、横には信頼してる同級生がいて。
後ろには、支えてくれるメンバーがいて。
そして、ファンの方がたくさんの声援を届けて下さって。
今はすごく、前向きな気持ちで頑張ろうと思えています。
ここからまた、乃木坂がもっと有名になるように頑張っていきます。
メンバーみんなで力を合わせて、もっともっと坂を上ります。
ぜひ、着いてきてくれたら嬉しいです。
6枚目シングルも、よろしくお願いします！」
「「よろしくお願いします！！」」
まいやんの力強い挨拶。
続くメンバー。
よろしくお願いしますの声が木霊した。
その残響が、消えそうになった時。
＿＿＿ﾊﾞﾀﾝｯｯ
ものすごい音がした。
全てがスローモーションのようだった。
あの日見た悪夢。
隣で感じた息遣い。
再び、同じ悲劇が起こっていた。
白石「生駒ちゃん！？」
生田「大丈夫！？」
生駒ちゃんが倒れた。
症状からして、前回と同じ。
決定的に違うこと。
目の前に、ファンの方がいること。
それも、かなりたくさん。
会場がざわめいて、不安が伝染する。
スタッフさんが駆け寄って来て、運ばれる生駒ちゃん。
その力ない姿に、私も恐怖に支配された。
松村「A、大丈夫？」
「さゆりん…どぅしよ」
松村「大丈夫よ、びっくりしちゃったね」
「…っﾊｧﾊｧ」
松村「生駒なら、きっと大丈夫やで。
Aもゆっくり深呼吸しい？」
「ん…ｯｸﾊｧ…ｽｰﾊｰ」
松村「苦しかったら捌けてええんやで」
「んーん…だいじょぶ」
松村「倒れる前に、絶対に捌けるんよ？
絶対無理したらアカンからな」
「うん…」
また、助けられなかった。
罪悪感と恐怖が襲う。
苦しくなりそう。
肩が上がった呼吸になりかけてたら、さゆりんが振り向いてくれた。
おかげで、ちょっと落ち着いた。
気持ちを切り替えて、踊りきらなきゃ。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月29日 14時
