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『これ、SNSの書き込み。

AはAKBの方が合ってるって。

乃木坂よりAKBが好きなんだって。

あんた、ファンの人にそう言われてるよ』


「いや、それは…」


『でも実際そうでしょう?

AKBのファンだったことは事実なんだし。

乃木坂なんか、思い入れないでしょ?』


「それは違う。

乃木坂だって、大切な存在で…」


『じゃあなんで、AKBの話ばっかするの?

優子さんとご飯行った、さっしーさんと仲良くなった。

麻友さんと写真撮った、珠理奈さんとお話した…

Aの口から出るのは、AKBの話ばっか。

乃木坂メンバーと思い出あるの?』


「…」




思い出なんか、たっくさんある。

語り尽くせないほど。

ただ、ママに話してないだけ。

だってママは、乃木坂のことを良く思ってないから。

やり方もそうだし、売上もそう。

知名度で言ったら、圧倒的にAKBさんの方がある。

娘の待遇も良い。

メンバーの話をしても、大して興味がなさそう。

だから敢えて、AKBさんの話を選んでしてたのに…

ママに、興味を持ってもらえるから。




『何か言いたいことあるの?』


「うぅん…」


『とにかく、あんたは2期生にも抜かれたの。

生駒ちゃん、まいやん、2期生…

初めはトップだったのにね。

いつの間にか、随分と下になってるよ』


「…ごめんなさい」


『あんたが悪いんだからね。

乃木坂の活動に手抜いたりするから。

AKBさんばっかりになるから。

いつも言ってるでしょ、視野が狭いって。

ママ、再三言ってたよね?

それだと損するよって。

直さなかったあんたが悪いんだからね』


「…はい」




呪文のようだ。

私が悪い、私が悪い…

確かにママは、常々忠告してた。

直そうと努力したけど、結局直らなかった。

だから、抜かされたのか。

私には、悔しいと思う資格すらない。




『運営も悪いし、あんたも悪い。

もう、乃木坂には縁がなかったんだよ。

早いうちに見切りつけた方が良いと思うよ』


「…ぅん」


『あーもう、2期生にまで抜かれるなんてね。

ママ、恥ずかしくて言えないよ。

娘が乃木坂にいますだなんて。

最初だけ人気だった子ねって言われちゃうじゃん。

何のために家まで借りて、仕事辞めてこっち来たんだか…』


「ごめんなさい…」




罪悪感に掬われて、火あぶりから解放された。

泥のように全身が重い。

また1つ、深い棘が追加された。

私は、何のためにここにいるんだろう。

全て手放したら、楽になれるのかな。

真綿の心に労りを→←怒りの炎に炙られて



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年1月29日 14時

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