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悔しさは溶かして昇華しよう ページ35

白石side


自分がこんなにも気が強いなんて。

今の今まで、全然知らなかった。

私は今、はっきりと悔しいという感情を自覚している。

ただ、それだけだ。




「まいやん…」


白石「A…っ」


「悔しいね…悔しいよね」


白石「うん…っ」


「…ごめん、私も悔しい。

何でか分からないけど、今乃木坂に入って1番悔しい。

まいやんのことを思って、自分のことを思って。

今、すっごく悔しいよ」


白石「Aも…?」


「うん…っ」




センターを外された。

変わることは、どこかで分かってはいた。

ただ、やっぱり悔しくて。

6枚目の期間、私なりに頑張れたと思ってた。

次に繋げられた自信もあった。

ファンの方も期待してくれている。

もう一度、センターをやってみたい。

それなのに…

最後に呼ばれたのは、私の名前ではなかった。

まだあまり話したこともない、2期生の名前。

悔しくて悔しくて仕方ない。




白石「頑張れたと思ってたのに…っ」


「まいやんは頑張ったよ。

6枚目、誰よりも頑張ってた。

ツアーだって、1番に振り覚えて。

煽りもたくさん練習して、毎回変えて。

ずっと努力してる姿、見てきたもん」


白石「なんで…っ」


「…悔しいねっ」


白石「私、何か間違った?

もっと頑張らなきゃいけなかった?

そんな…センター外されるなんて…っ」


「まいやんは何にも間違ってないよ。

私も、まいやんセンターで行くと思ってたもん…

私だって…行きたかったたもん」




誰も声をかけて来なかった。

かけられないくらい、私は酷い顔してたんだと思う。

それでも、Aは来てくれた。

同じように悔しいって泣いてくれた。

張り詰めていた心が、少しだけ緩まる。




橋本「まいやん、辛いね…」


松村「悔しいな、うちも悔しい…っ」


白石「ななみん、さゆりん…」


「じゃ、私は行くね。

3人にしか、分からないことがあると思うから。

まいやん、私は絶対にまいやんの味方だよ。

まいやんの力がなかったとか、絶対そういうんじゃないからね」


橋本「まいやん本当にかっこよかったもん、今年の夏」


松村「まいやんがセンターで良かった。

本当に、毎日こう思ってたんだからね」


「悔しい気持ち、今全部出しちゃいな?」


白石「…うんっ」




そして、2人も。

隣でずっと支えてくれた。

どれだけ助けられたか分からない。

この悔しさも、2人と共有したらバネになるかな。

だから私は、2人の腕の中で溺れた。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年1月29日 14時

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