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微睡みを闘志で溶かして ページ46

電話が鳴った。

もう夜中の2時を過ぎてるのに。

ディスプレイには、やっぱりの人。

凍った心を溶かすように、本能で通話ボタンをタップした。




「もしもし…」


橋本「起こしちゃった?」


「起きてた…」


橋本「うん、だと思った」


「…さすがすぎてびっくりした」


橋本「まぁね、大体のことは分かってるつもりだよ」




散々だった。

寝るまでずっと、あの甲高い声が聞こえて。

ベッドに入ってからも鳴り止まなくて。

右に左に寝返りを打った。

それでも、全然消えなくて。

選抜に入ることが絶対の価値観。

もし、選抜に入れなかったら…

明日はどんな傷を負うのだろうか。

がんじがらめにされた私は、目を瞑ることさえ許されないようだった。




橋本「ブログ見たよ」


「あ、ほんと」


橋本「誘導された…?」


「うん、まぁちょっと…

本当は、あんなに明言しなくてもとは思った」


橋本「もう少し控えめに書きたかったんでしょ?」


「うん…だってなんか、言いにくいし。

私なんかが、選抜入りしたいって言うの。

もちろん、目指してることに変わりないんだけどさ。

そういう言葉1つで、波が立ったりするじゃん」


橋本「そうだねぇ…」


「でも、それじゃあOKが出なくて。

強気でいなさい!って。

まぁ、AKBさんの選抜に入るってそういうことだからさ。

強くいないと、確かにやってけないし」


橋本「うん…まぁ、逆風からのスタートだからね。

今も完全に追い風ってわけじゃないし」




自分のようで自分じゃない。

本当の自分じゃない。

そんな思いを抱えながら、今日を迎えた。

ストレートに受け取る人がいて当然。

それを批判的に捉えられても仕方ない。

でも、それは本当の私じゃない。

弁解できないジレンマ。

ななみんは分かってくれている。




「ありがと、電話してくれて」


橋本「んーん、声が聞けて良かった」


「それは私のセリフ笑」


橋本「明日、テレビで見てるね」


「え、お仕事大丈夫なの?」


橋本「色々とズレて、その時間空いたんだ。

ま、ラジオは行かなきゃなんだけどね笑」


「なら尚更、その空いた時間に呼ばれるように頑張る」


橋本「笑ってくれればそれでいいよ。

どんな結果でも、楽しかったって言えれば

総選挙はお祭りなんでしょ?」


「うん、おやすみ」


橋本「おやすみ」




なんて落ち着くんだ。

見てくれてる、繋がってる。

そこにいる。

それだけで私は、微睡みの中に溶けてゆく。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年1月25日 11時

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