隠した本音 ページ36
『それで…仕事の方はどうするの？
今年も総選挙、出るんでしょ？』
「うん、こないだ兼任解除されなかったからね」
『目標は？』
「今年は…」
『もちろん、選抜でしょ？』
「…うん」
『去年、結構惜しいとこまで行ったもんね〜』
「そうだよね…」
『今年は絶対に入れる。
だって、ずっと選抜だったんだよ？
プリンシパルだって、1番の結果を残した。
落ちる要因なんてないじゃん』
「そうだけど…」
『もう、せっかく応援してあげてるんだよ？
もっと、頑張る！とか気合い入れたら？』
「うん、頑張るよ…！」
そう、夏といえば総選挙もある。
こないだのコンサートで、兼任が解除されたメンバーもいた。
でも私は、その対象ではなかった。
今年も兼任継続。
すなわち、総選挙へも参加するということだ。
目標は選抜…
そう、選抜メンバーを目指す。
その気持ちに嘘は…ない。
『選抜に入るためには、あと何が必要だと思う？』
「なにが…」
『それが分かってないと、絶対無理だね』
「えっと…」
『ほんっと、運営の推しはこれだから…
あのね、ぬくぬく温室で育った人には分からないかもしれないけど。
必要なのは、強気な気持ちだよ。
最近のAは、よく分からない。
感情が見えなくて、何考えてるのか分からない。
本音が見えて来ない。
それじゃあ、本気なんて伝わらないよ』
敢えて隠してる…とは言えない。
本音でぶつかると、傷つくことだらけだ。
だったら、自分じゃない誰かを降ろせばいい。
その人に感情を昇華させたい。
そしたら私は、無傷のままだ。
私ってずるいのかな…？
「あとは、メンバーからの人望ね。
2期生が入ってきて、何か厳しくしてるんでしょ？
そういう態度も良くないと思うよ。
調子乗ってるって思われちゃう。
メンバーから応援してもらえないなんて、致命的だからね」
「…はい」
『とにかく、自分が人気だからって驕らないの。
ほんっと、そういうとこ鼻につくよ？』
「ごめんなさい」
『ママは、謝ってほしいわけじゃないの。
Aのためを思って言ってるんだからね。
そういうの、普段の生活でも出ちゃうから。
学校とかでも気をつけなさいよ？』
「はい」
先頭に立つ人として、グループを引っ張れと言われる。
出る杭は打たれるから、出しゃばるなと言われる。
どっちを信じたらいい？
その加減、知ってるなら教えてほしい。
理想の姿を示して、ママ。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月25日 11時
