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橋本side
『本当にお世話になりました。
これ、つまらない物ですが…』
玄関先にお客様。
そう、Aのお母さん。
今日が引越しだから。
手土産を持って挨拶に来たらしい。
荷物を全て送り終わったAは、私の部屋で寛いでる。
私もすぐ引越しだから、部屋は何もないけど笑
もうこうやって、2人でゴロゴロすることもないんだな…
寂しいけど、Aの前では出さないようにする。
「あーあ、寂しいなぁ」
橋本「ずっと大人数で暮らしてたからね」
「うん、みんなの声に支えられてた」
橋本「急に1人とか、夜寂しそう」
「電話していい？」
橋本「うん、寧ろして笑」
寂しそうな声。
こういうとこ、年相応で可愛いなぁ。
Aは特に、初期の頃から個人仕事が多かったから。
余計、みんなの声に励まされてた部分が大きいんだろうな。
かく言う私だって、Aの笑顔や声に励まされてたんだけどね。
橋本「お母さんと2人で暮らすんだって？」
「うん…」
橋本「大丈夫？」
「…うん、へーき。
乃木坂入るまでは、ほぼ2人だったし。
中学生になったら、学校にいる時間も増えるし。
お仕事もあるし、そんなに家いる時間ないと思うから…」
橋本「そうだね」
「でも、しんどくなったら連絡していい？」
橋本「もちろん、すぐして」
「ありがと…」
橋本「遠慮とかいらないから、ちゃんと連絡してよ？」
「分かった」
寮を出て、お母さんと2人で暮らす。
そう聞いた時、不安もあった。
彼女と母親を取り巻く諸々の状態を見てきた身としては。
密着状態が続くと、纏う空気の通気が悪くなる。
その籠った空気の捌け口は、大抵娘に回る。
「ななみんも、一人暮らし頑張ってね」
橋本「ほんとにね笑」
「見かけによらず、全然自分のこと構わないんだから」
橋本「気をつけます笑」
「どこ引っ越すのー？」
橋本「えー、まだ秘密」
「なんでー！まだー？」
橋本「引っ越したら教えてあげるね笑」
「分かったぁ」
橋本「あ、そうだA。
これ、お下がりだけどあげる。
荷物増えちゃってごめんだけど笑」
「え、いいの？」
橋本「この服、いつも可愛いって褒めてくれたもんね。
私からの卒業祝い第1弾ね。
第2弾は、もうちょっと待っててね笑」
「えー！ありがとう嬉しい！」
引越し先は、Aの家の近くにした。
なんてサプライズは、第2弾に取っておこう。
A、卒業おめでとうね。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月25日 11時
