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世界一熾烈な祭典 ページ7

『それでは、メンバーの皆さんはスタンバイをお願いします』




総選挙の裏側は、思っていたより戦場だった。

いつもの楽屋とは、全く違う雰囲気。

ピリピリ感が肌でも伝わる。

私も、落ち着いていた緊張が再び襲ってきた。

この息もできない緊迫感こそが、このイベントの本気度だ。

スタンバイの合図も、普段よりずっと堅い。

流されるようにして、自分の立ち位置に着いた。




篠田「緊張してる?」


「してます…」


篠田「まぁするよねぇ…笑

こう見えて、私も緊張してるもん」


「麻里子さんもですか」


篠田「でも、出ちゃえば楽しいから。

みんなのスピーチ聞くのも面白いし。

大丈夫、総選挙はお祭りだよ」


「すごい…」


篠田「ま、優子とかまゆゆとか、1位を期待されてる人はね。

追われる身って、すごくプレッシャーだからさ。

めちゃくちゃ緊張してるんだろうけど、私はそうじゃないから。

気楽に楽しめる部分もあるし、リラックスしてこ〜って感じ」




名前の順が隣の麻里子さんが、見かねて話しかけてくれた。

そう言えば、楽屋入りしてから初めて人と話した気がする。

自分も周りも緊張してて、誰にも話しかけられなかった。

麻里子さんは、さすがの貫禄。

そう言えば、スピーチって言ってたな…

私、ほとんど考えないで来ちゃったよ。




篠田「スピーチはね、言ったもんがちだよ。

長くなくていいの。

端的に、伝えるべきことを伝えればいい。

そしたら自然と、心に残るもんだから」


「ありがとうございます」


篠田「うん、頑張ろ」




ちょうど、麻里子さんの名前が呼ばれた。

頼もしい背中は、ステージへと上がってしまった。

その数秒後。

私の名前が、大きな会場に響き渡った。




:




『第30位は、SKE48の須田亜香里さんでした〜』




今回の総選挙は、難航を極めていた。

アンダーガールズの発表まで来たものの、呼ばれた名前の全てがSKEさん。

現時点で、私の名前は呼ばれていなかった。

速報の順位からは、もうだいぶ先に進んでしまった。

確かに、速報で呼ばれていなかった方もたくさんランクインしてる。

でも、それは48グループの先輩だからであって。

私が呼ばれることは、もうないのかもしれない。




『第4回、AKB48選抜総選挙。

第29位は、SKE48チームS 矢神久美』




たった今、SKEの矢神さんの名前が呼ばれた。

矢神さんは、マジすか学園2でも主要な役を演じてらっしゃった。

もうここまで来たら無理だ。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年1月13日 1時

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