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ページ47

『大変失礼しました。

何もないようでしたらこれで…』




あぁ、終わってしまう。

私はどこですか?

たったこれだけなのに、喉に言葉がつっかえて出て来ない。

所属はありませんと言われるのが怖かった。

そもそも、次の所属を用意してもらってるかも分からない。

そして、何よりこの大観衆だ。

私のことを知らない人だっているだろう。

兼任をよく思ってない人だっている。

みんな、AKBさんの夢を見届けるためにここにいるのだ。

それなのに、私がその邪魔をしても良いのだろうか…

貴重な時間を使っても良いのだろうか…

葛藤すればするほど、どんどん手は上がらない。

けど…

私の団扇を持って来てくださった方の姿も見える。

ここで自分から動かなければ…

私は、何のためにAKBさんと兼任したと言うのだろう。

自分で動かなきゃ、未来は変わらないんだぞ。






「あ、あの…っ」


高橋「戸ヶ崎さん、Aはどこですか?」




聞こうか聞かまいか、ギリギリまで迷っていた。

でも、もう本当に終わってしまう空気が流れたから。

ここで聞かなきゃダメだって、最終列車のベルが鳴った。

意を決してマイクの電源を入れたら、たかみなさんが気づいてくれた。

掠れた私の声。

それに被さるようにして、よく通る声が響いたのだ。

私が続けたなかった言葉を、さらりと紡いでくれた。

ありがとうございますと、目で合図する。






『あぁ、ごめんね。

白橋Aは、乃木坂46とチームK兼任です』


「えっ………はい」


『失礼しました。

じゃあAも、Kの方に移動して』


「……は、はい」


『もういませんかね?

…それじゃあ、発表は以上となります』




絶対に、兼任終了と言われると思ってた。

それなのに、私に告げられたのはチームKとの兼任。

また新たな居場所が、ここに与えられたのだ。

居場所があることは嬉しい。

AKBさんと再び活動出来ることは嬉しい。

それでも、唐突なチーム異動。

さっきまでの不安も相まって、体が硬直していた。

突然過ぎて、頭が完全にショートした。

私は、自分1人では動くことが出来なかった。




大島「A、こっちだよ、おいで」


「優子さん…」


大島「大丈夫よ〜、みんないるからね」




そんな私の手を取ってくれたのは、やっぱり優子さんで。

導かれるようにしてこの世界に入った私は、再び優子さんに導かれて。

混乱した頭のまま、力強い手に従った。

大島チームKへの所属となったのだった。

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設定タグ:乃木坂46 , AKB48 , アイドル
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年1月13日 1時

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