夢の足跡 2 (ページ8)

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影の目論見ページ8

それは、彼女の知らないところで動いていた。

内密に、けど着実に。

彼女を、そしてグループを取り巻く環境は変わろうとしている。

先に描いていた化学反応は、どう出るか。

その結果はまだ、誰も知らない。

:

＿こういった意図なんだが、どう思う？

『確かに、競争する環境は必要ですね。

グループの特性が仲の良さなのは、悪いことじゃない。

けど、初めからそれでは困ります。

誰かが一石を投じなきゃいけない。

それを選ぶんだとしたら、僕も彼女が適任だと思います』

＿前例ならある、成功もしてる

『いい意味で火が付きましたもんね、両方に。

ただ、本人の負担は計り知れない。

その点のケアは、どう考えているんですか？』

＿それなら問題ない、向こうのトップに話はしてある

『なるほど、向こうが受け入れ態勢を整えているのであれば…

こちらとしても、安心して委ねることができると思います。

しかし、彼女の場合、少し家庭に不安要素があるといいますが…』

＿それじゃあそこは、僕から話をしよう

得体の知れない何かが動いている、とても大きな何かが。

何かが変わろうとしている。

歯車はゆっくりと動き出している。

本来の向きとは、反対の方向に。

:

『うちの子がですか…』

＿お嬢さんには、才能と可能性があります

『でも、そんな負担の大きいことを…』

＿リスクはありますが、リターンもあります

『リターン？』

＿彼女は今でも、グループ随一の人気です

今後さらに、支持は増えていくでしょう

経験値を高めるのは悪いことじゃない

何より、本人にとってアドバンテージになります

1番を目指すには、1番に触れることです

一流を知らなければ一流にはなれません

彼女に、そのチャンスを与えるのはどうでしょうか

おそらく、彼女は一流になれます

そして、一流を伝えることも出来ます

グループと本人の成長のためにと思うのですが…

『うちの子の才能をそこまで評価して頂いて…

あの子には、いつでもやるからには1番を目指しなさいと言っております。

きっと、やれば出来ちゃうと思います。

そこまで仰って下さるのなら、お任せしたいと思います。

ぜひとも、よろしくお願い致します』

彼女の知らないところで、何かが動いた。

揺るがぬ何かへと変わり得た。

化学反応が、吉と出るか凶と出るか。

それは、彼女しか知らない。

彼女が自分の足でしか示せないからだ。