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松村side
松村「A、どしたん〜？」
『早朝に、私の部屋に来たんです。
泣いてたから理由を聞いたら、お腹痛いって。
様子見てたんだけど、あんまり回復しないみたいで…
泣きすぎてるから脱水が怖いんだけど、何にも口にできないみたいで。
しんどくなっちゃったね、辛いね』
白石「お腹痛かったの？」
「ん…ﾋｯｸ」
松村「いつから〜？」
「きのうの…よるっ…ﾋｯｸﾋｯｸ」
白石「それなら、教えてくれれば良かったのにぃ」
「みんな…緊張してたから…ﾋｯｸ」
松村「そっか…」
「うう…っ」
白石「大丈夫っ？」
「きもちわるい…ﾋｯｸﾋｯｸ」
松村「気持ち悪くなって来ちゃった〜？」
『Aちゃん、お薬持ってくるね。
お薬飲まないと、お腹痛いのも気持ち悪いのも治らないからさ。
多分、精神的なものだとは思うけど…』
松村「お腹摩ったるからな」
「ありがと…ﾋｯｸ」
部屋に入ると、Aがベッドの上で蹲ってた。
お腹が痛いらしく、くの字になってポロポロ泣いてる。
顔色も悪いし、すごいしんどそう…
うちに出来るのは、お腹を摩ってあげることくらい。
『お待たせ〜、Aちゃんどうぞ』
「ん…ｯｸ」
松村「大丈夫？」
「うん…」
『緊張してるんだよね』
「うん…」
白石「珍しいね、Aが緊張するの。
初めて見たかもしれない、泣いてるとこ」
『そうかもしれないね、あんまりメンバーの前では泣かないから』
松村「寮母さんは、見たことあるんですか？」
『まぁ、私はね…笑
最近は特に、不安なことが多かったからね』
「…うん」
白石「不安なこと？」
『…ま、プレッシャーなんだよね。
色々と露出してるし、期待もかかってるしね』
松村「そうやんな」
薬を飲んだら、心做しか少し落ち着いた様子。
経緯を聞くと、不安やプレッシャーが招いてしまったみたい。
でも…どうにも違和感がある。
心の中に、ザラっとした異変を察知していた。
「…もうだいじょぶです」
『本当に？』
「行かないと…時間ないから…」
松村「行けそう？」
「ん、へーき」
白石「辛くなったら、いつでも頼ってね」
「ありがと…」
彼女は、もっと大きな何かを抱えているかもしれない。
漠然と大きな不安に襲われた。
私のこういう予感は、よく当たる。
まさか今回ばかりは…なんて甘く見ていた。
まだ11歳の女の子が抱えるものを、この時の私たちは知らなかった。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月5日 14時
