夢の足跡 2 (ページ11)

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「…はい、ありがとうございます」

乃木坂46には、福神メンバーと呼ばれるポジションがある。

前から2列目までの8人。

これを、8福神と呼ぶらしい。

ここまでが、メディアに出る選抜という位置づけをされている。

私はその8人目。

つまり、福神最後の1人で電話がかかってきた。

話すこともまとまらないまま、スタジオへと急いだ。

:

『白橋ちゃん、おめでとうございます』

「ありがとうございます」

『福神最後の1人でしたけど、どうですか？』

「そうですね…かなりドキドキしてたんですけど。

今は呼ばれてホッとしています。

選んで下さって、ありがとうございます」

『今回ね、初めての選抜発表ってことでしたけど。

白橋ちゃんは、結構露出もしてるじゃない？

やっぱりその辺は、プレッシャーとかもあった？』

「プレッシャーもありましたね。

絶対に選ばれなきゃっていう気持ちは…

もちろん、絶対選ばれたいって気持ちがあることが前提ですけど。

でも、乃木坂46として外でお仕事させてもらうことも多いので…

呼ばれなきゃなって気持ちはずっとありました」

バナナマンさんと、初めて密に話させてもらう。

いつもは、ほんの少ししか絡む時間がない。

大先輩だし、どこか怖い印象を持っていた。

けど、それは大きな誤解。

目の前にいるお2人は、本当に優しい人。

私の言葉をゆっくりと飲み込んで下さる。

『最年少でこれだけ注目されてるとね。

そりゃ、プレッシャーにもなるよね』

「個人的には、年齢はあまり気にしてないんですけど…

でも、年齢のせいにはしたくないし、されたくないとは思ってます」

『すごい刺激になってると思うよ、周りのメンバーからしても』

「…ありがとうございます」

『率直な今の気持ちはどうなの？』

「すごく嬉しいです！」

『子供らしくて良かった笑』

「ほんとですか？笑」

『うん、すごい大人っぽく見えちゃうからさ。

年相応な一面が見れて安心したよ』

「それは嬉しいです…笑」

『しんみりムードだったから、今一気に和んだね』

「良かったです…笑

選ばれたからには頑張ります」

『うん、その意気その意気！』

『いやぁ、しっかりしてるね！』

「そんなことないです」

『頑張ってね！』

『頑張れーい！』

「ありがとうございます…！」

呼んでもらった。

これが全てだ。

またここから、自分に出来ることをやる。

この時の私は、心からそう思っていた。