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橋本side
橋本「A、入っていい？」
「ななみん…いいよ」
橋本「大丈夫？」
「うん、私は大丈夫…」
橋本「飛鳥達のことは、まいまいとかずみんが落ち着かせてくれたから大丈夫だよ」
「うん…」
さっきまで、あんなにるんるんしてたのに…
ドアの前で、飛鳥とまあやが泣いていた。
年少組の中でも、人気の差が目に見えてしまったらしい。
まだまだ幼いし、もちろんお見立て会なんて初めての経験だし。
可視化できる人気は、心に響くよね。
ただ、その場に居合わせてしまっただけ。
本当にタイミングが悪かっただけなんだけど…
当事者のAは、だいぶショックを受けてしまっていた。
返しは正論そのものなんだけれど、その後部屋に篭ってしまった。
追いかけて来たんだけど、やっぱり落ち込んでるよね。
橋本「2人とも、多感な時期だからね。
周りと比較して、ちょっと落ち込んでるだけだよ。
だからAも、あんまり気にしちゃダメよ」
「私…言い方キツくなっちゃった。
どうしよう、どうしようって。
自分は悪くないって思いたくて。
だから、間違ってないって厳しいこと…
言い方には気をつけなさいって、いつもママに言われてたのに…」
橋本「まぁね、確かに優しい言い方には聞こえなかったかもしれないよ？
でも、それくらいで折れてたらやってけない。
もっともっと厳しい現実は、この先いくらでもあるんだから」
「うん…」
橋本「Aも、これくらいで落ち込んでたら持たないよ？」
「未だに年少組と仲良くなれてないのは…？
それは、私がこういう性格してるから…？」
橋本「ううん、それも違う。
まだみんな、距離感が手探りの状態なだけだよ。
色んな経験を通して、徐々に縮まっていくから大丈夫」
「…うん」
珍しい、Aがこんなに落ち込むなんて。
自分のことだと淡々としてるのにね。
やっぱり、相手がいるってなると不安になることもあるよね。
Aだって同様に多感な時期なんだから、しっかり見てないと…！
橋本「よし、じゃあご飯食べに行こ！」
「うん、行く」
橋本「今日はご馳走なんでしょ？
元気にならないと、お腹いっぱい食べられないよ〜」
「食べるぅ」
ふわりと頭を撫でてやると、くすぐったそうに首を預けて来て。
張り詰めた表情が、ふと穏やかになった。
これでもう大丈夫かな。
手を繋いで、ダイニングへと向かう。
その横顔は、もういつものAだった。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月1日 0時
