初めてのテレビ ページ43
スタジオに移動して、着替えてメイクを済ませた。
台本をもらって、ざっくり目を通して…
スピード感がありすぎて、ついて行くのさえやっとだった。
その気持ちを悟られないように、平然を装って前を向く。
私の席は、下手から見て2番目。
玲香とまいやんの間で、MC席からほど近い。
こんなにいい位置、本当に私で良いのだろうか…
桜井「緊張してるでしょ？」
「うん、さすがにね…」
桜井「こう見えて、私もまぁまぁしてるから大丈夫だよ…笑」
「玲香もしてるんだ、なんか意外…」
桜井「MC、バナナマンさんなんだって」
「バナナマンって…あのバナナマン？」
桜井「そうそう、設楽さんと日村さんね」
「最初からそんなすごい人と…」
桜井「乃木坂は恵まれてるよ、すっごく。
AKBさんのおかげだけどね、全部。
ものすごい有名グループのライバルだから、最初からこんなにしてもらえてる。
お金も、労力もかけてもらえてる。
それは、それ相応の結果を出さなきゃいけないってことの裏返し。
AKBさんと同じことしてちゃ、私たちはライバルにはなれない」
「うん…そうだね」
さすがにドキドキしてたら、玲香が気づいて話しかけてくれた。
いつも堂々としてる玲香でも、緊張してるらしい。
それを知ったら、なんだか楽になった。
そしたら急に、真剣な顔になった玲香に言われたんだ。
芸能活動をしてたからこその、貴重な意見。
これを聞いたら、まだ幼い私でも理解出来た。
多分、玲香は乃木坂を引っ張ってく人になるだろうということに。
私も、ここに選ばれてる以上は、現時点で一定数の評価は頂けてるということ。
それを無駄にしないためにも、ちゃんと努力できる人でいなきゃ。
:
『どうも〜！バナナマンです！
さぁ始まりました、乃木坂ってどこ。
こちらが、乃木坂46のメンバーです！』
カメラの赤ライトが光った。
間もなくして、バナナマンのお2人が入って来た。
当たり前だけど、初めて見た。
もうなんて言うか…オーラがすごすぎる。
『乃木坂46はAKB48の公式ライバルグループとして8月21日に誕生。
まだ結成してから1ヶ月と少しですが、その人気は巷で急上昇中。
これからデビューを控える、今最も注目のアイドルグループです』
乃木坂46の経歴を発表して下さっている。
たったの3文。
まだ何にも言うことのない私たち。
これから始まるんだ。
純粋にそう思った。
ここでこれから、成長していくんだ。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月1日 0時
