早く追いつきたい ページ41
橋本side
乃木坂46の冠番組、乃木坂ってどこ？の選抜発表があった。
突然のことで驚いたけど、こういうことかとも思う。
アイドルとは、いつだって急に戦いが始まるものなのだ。
だから、常に臨戦態勢でいなきゃいけない。
少なくとも、乃木坂46として活動している時は。
気を抜いていい瞬間なんて、1秒足りともないんだ。
そう、改めて気付かされた気がする。
私が足を踏み入れたのは、そんなシビアな世界。
毎日が競走で、綱渡りで、駆け引きだらけ。
けど、逃げたいとは思わなかった。
それなりの覚悟は決めて来たんだから。
松村「…ななみん？」
橋本「ん？……あぁごめん。
別に、落ち込んでるとかじゃないよ。
ただ、アイドルってこういうものなんだーって思って。
AKBさんを見てて、何となく予想は出来てて。
でも、実際に経験したらそれ以上で。
こんな感じなんだなって、体感したっていうか…」
松村「選ばれたメンバーは、やっぱりすごかったよね。
もう見ててさ、なんか納得っていうか…
選ばれるよなぁって感じだったもん」
橋本「うん、レッスンからレベル高かったもんね」
松村「もっと頑張らなアカンなって気付かされたわ」
橋本「私も、言い訳なんかしてられない。
まだ始まったばっかりだし、ここからだもんね」
松村「次は絶対に選ばれような」
橋本「うん、頑張ろ」
自分の名前が呼ばれるなんて、思ってなかった。
それは、普段のレッスン然り、公式サイトの反応然り。
だから、当然の結果だと受け止めた。
こんな所で立ち止まってるわけにはいかない。
それなりに覚悟を決めて、ここに来たんだから。
松村「やっぱり、Aってすごいんやな。
さっき、すごい肝が据わってた感じした。
堂々としてたっていうか、気持ち切り替わってたよね」
橋本「そうだねぇ…」
松村「テレビ収録、緊張したりせぇへんのかな」
橋本「Aも意外と、緊張しいだよ。
あんまりそういう姿、見せないけどね」
松村「そうなんや」
ふと、Aのことが気になった。
彼女はもちろん、名前を呼ばれた。
そしてさっき、収録へ向かって行った。
私はオーディションの時から彼女を見てるから、他の人より詳しいと思う。
オーディションの最中は、結構緊張していたように思う。
それこそ、受かった時でさえ緊張している印象を受けた。
けど、いつの間にかそういう姿を見なくなった。
だから、さっきもにへらと笑っていたのだ。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月1日 0時
