君がここに来たのは、運命か必然か ページ21
No side
＿全て終わりましたけど、どうしますか？
『僕は何も言わないから、まずは君たちで意見を言うといいよ』
＿彼女は圧倒的でしたね
＿とてもこの年齢とは思えなかった
＿この子は革命児だろうね
＿いやぁ、圧倒的すぎてびっくりしました
オーディションの度に、審査に参加する。
僕が見るのは、最終審査だけ。
言わば、選ばれし者達の最後のジャッジだけだ。
過程を見てきたわけではないから、大きく意見はしない。
やはり、現場でプロセスを追ってきた人の目の方が肥えてるのだ。
しかし、稀に意見を言う時もある。
どうしても譲れない時。
魂が揺さぶられる程の衝撃を感じた時。
そして、今日もまた然りだった。
『僕も、この子が1番だと思う。
全参加者の中でトップだった』
基本的に、オーディションはドラフトのような決め方をする。
審査員が各々、良いと思ったメンバーを挙げていく。
その中で話し合い、合格者を絞る。
色んな人が色んな候補者を選ぶから、大きな偏りはない。
だから、あまり単独トップの合格者は出ない。
しかし、今回は例外だ。
そこにいたスタッフ全員が、彼女の名前を挙げたのだ。
『彼女はすごいね、化けると思うよ。
初めて珠理奈を見た時と似た感情だ。
でも、珠理奈より自分に自信がないように感じる。
どこか前田を彷彿させる部分がある。
そのバランスが絶妙で、これは天性だね』
過去に行った、AKBのオーディション。
何人か、圧倒的な子がいた。
原石だと直感した。
彼女もそうなのだけれど、どこか違う。
見た目の華やかさは、十分な輝きを秘めている。
しかし、内面が読めない。
育ちからしても、華やかなのだろう。
けど、ざわざわとした何かがいた。
もっと覗いてみたい、もっと追いかけたい。
＿彼女をセンターで行きますか？
『いや、センターは別の子にしよう』
＿いいんですか？
『彼女には、別の道を与えたい。
内面の方向性を探りたいんだ』
＿なるほど
『AKBの化学反応は成功した。
だから今度は、もっと大きな実験をしたいんだ』
＿彼女は大丈夫でしょうか？
『強いだろうね、あの子は。
芯がものすごく強いと思う。
ただ、彼女は間違いなく中心になる。
慣れない環境なことは間違いない。
バックアップの方は、よろしく頼んだよ』
＿分かりました
満場一致の合格を決めた。
彼女こそが乃木坂のエース、白橋A＿＿＿
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月1日 0時
