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『自己紹介をお願いします』
「神奈川県から来ました、白橋Aです。
小学1年生から習ってる、新体操をやります」
自信を持って、特技披露ができた。
他にもすごい子はいたし、個性的なことをやってる子もいた。
でも、私は私で準備してきたことをやれた。
だからもう、ここで落ちても悔いはない。
:
「橋本さん…!」
橋本「Aちゃん、お疲れ様。
すごいね、おめでとう!」
「橋本さんも、おめでとうございます!」
橋本「ありがとう」
「最終審査だなんて…どうしましょう汗」
橋本「明後日って言ってたよね。
まさか、ここまで来るなんてね…」
「お姉ちゃんに報告しなきゃ…」
橋本「お姉ちゃん、来てるの?」
「いや、家で待ってます。
今日は学校だったみたいで。
最終審査には、着いてきてくれるんですけど…」
橋本「お母さんは?」
「ママは……家にいます」
橋本「そっか」
こんな未来、誰が予想してただろうか?
4次審査まで通過するなんて、思いもしなかった。
嬉しさ半分、不安が半分だった。
嬉しいのは、橋本さんも一緒に合格したから。
2人揃って通過出来たことは、本当に嬉しい。
不安はもちろん、ママのこと。
もしこのまま、最終審査まで上手くいってしまったら…
思わず身震いしてしまう。
橋本「ドキドキしちゃうよね、最終審査なんて」
「はい…」
橋本「歌と面談って言ってたけどね」
「何聞かれるんでしょうか」
橋本「まぁ、受けた理由は絶対聞かれるだろうねぇ」
「受けた理由…」
橋本「Aちゃんは何で受けたの?」
「自由に……」
橋本「ん?」
「あ、いや…お姉ちゃんに勧められたので…」
橋本「そっか笑
確かに、Aちゃん可愛いもんね。
お姉ちゃんが勧めたくなる気持ち、分かるかも」
「そんなことないです…!
橋本さんは、どうして受けたんですか?」
橋本「私はねぇ…自分の可能性を確かめるため、かな?」
「かっこいい…」
橋本「そんなことないよ笑
もうこんな年だし、ラストチャンス的なね笑」
「いくつなんですか?」
橋本「今年19になる年だよ」
「え、全然若いのに…」
橋本「世間的には若いけど、アイドルになるにはギリギリだからね笑」
少し自虐的に笑う橋本さん。
その目は、ここじゃないどこかを見ていた。
あぁ、橋本さんの気持ち、少しだけ分かるかも。
何となくだけど、心の奥深くで繋がった気がして嬉しかった。
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年1月1日 0時