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『あの…ダンス審査、一緒でしたよね？』
「え、あ…多分？」
『68番の子ですよね？』
「はいそうです」
『やっぱり！絶対受かると思ってたー！』
「いやいや、そんな…」
『私、樋口日奈って言います！』
「白橋Aです…」
『Aちゃん、可愛い名前だね』
「ありがとうございます」
『お弁当、1人？』
「あ、はい…」
『それなら一緒に食べよう！
年齢が近い子、あっちに固まってるんだ。
Aちゃんも、年少組だよね？』
「おそらく…」
『じゃあおいで！』
唐突に、お昼に誘ってもらった。
ダンス審査を一緒にやった子だ。
えーっと確か、62番だったかな。
前列で踊ってて、すごく上手だった。
こういう子が受かるんだろうなぁって、漠然と思ってた。
この子もまた、オーディション慣れしてそう。
樋口日奈ちゃんって言うらしい。
年少組でお昼って言ってたけど、私が混ざっても良かったのかな…
もうグループ出来てるっぽかったし、いきなり入るのは勇気がいる。
樋口「私たちもね、2次審査の後に仲良くなったの。
でも、今日のダンス審査で仲良くなった子もいるから大丈夫。
せっかくの機会だし、友達作りたいなって思ってさ」
「なるほど…ありがとうございます」
樋口「Aちゃん、ダンス上手かったよね」
「いやいや、全然です…」
樋口「えー、体の芯が全然ブレてなかったよ」
「それは多分、新体操やってるから…」
樋口「新体操やってるんだ、すごーい！」
「いやいや、樋口さんの方が上手くてすごかったです」
樋口「まぁ、日奈はダンス習ってるからねー笑」
「やっぱりそうですよね。
みんな、ダンス習ってたり、芸能活動してたりするんですかね？」
樋口「どうなんだろ、芸歴ありそうだなーって子はいるけど。
でも、今はやってないんじゃないかな。
受かったら事務所に所属しなきゃだし。
ダンスはまぁ、習ってた子は多いかもねぇ。
Aちゃんは、芸能活動はしてなかったの？」
「はい…」
樋口「へぇ！そうなんだぁ！」
聞くところによると、樋口さんはかなり強いダンスチームに入ってるらしい。
桜井さんといい、樋口さんといい、ハイスペックすぎる。
その後、年少組に混ぜてもらってお弁当を食べた。
星野さん、和田さんと一緒になったけど、緊張して全然話せなかったな。
お弁当の味も、全然分からなかった。
次の特技審査を前に、帰りたい気持ちでいっぱいになっていた。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月1日 0時
