私が来る場所じゃなかった ページ14
あっという間に、3次審査の日がやって来た。
会場に行くと、女の子がたくさんいた。
私は割と遅めに到着したらしく、ほとんどの子が控え室で着替えを済ませていた。
レッスン着を着て、ストレッチをしている子も多くいる。
みんな、オーディション慣れしてるって感じ。
黙々と鏡に向かう子、親しそうにお喋りする子…
私と同じ年代の子を探したいけど、みんながうんとお姉さんに見えて無理だった。
普段の私なら、自分から話しかけに行けるのに…
今日はどうしたらいいのか分からず、佇むしかなかった。
桜井「Aちゃん、久しぶり〜」
「桜井さん、お久しぶりです」
桜井「着替えてこっちおいで〜
一緒にストレッチしよう！」
「ありがとうございます」
桜井「そんなに緊張しなくても大丈夫だからね〜」
キョロキョロしてたら、桜井さんが気づいて声掛けてくれた。
ダンスやってますって感じのレッスン着を着てる桜井さん。
やっぱり、オーラから全然違う…
私も慌てて着替えて、桜井さんの隣に走った。
桜井「特技審査、練習してきた？」
「まぁ、少しだけ…
だって、そこまで行ける自信ないから…
ダンスなんて習ってなかったし、ここで落ちちゃいます」
桜井「えー、Aちゃんは行けるよ」
「そんなそんな…」
桜井「いや、Aちゃんは行ける。
これはね、何度もオーディション受けて来た私の勘。
信じられないかもしれないけど、結構当たるんだよ」
「えぇ…笑」
桜井「ダンスの上手い下手を見てるわけじゃないから大丈夫よ」
ストレッチしながら、桜井さんとお喋り。
特技審査は、今日の午後にある。
そこまで進むには、3次審査を突破しなければいけない。
会場に入って、ますます自信がなくなっちゃった私。
でも、桜井さんは大丈夫だと言い張ってくれた。
:
『それでは、3次審査を始めます。
お伝えしてあったように、ダンス審査を行います。
10人ずつ、AKB48の会いたかったを踊ってもらいます。
初めに振り入れをして、30分だけ練習時間をあげます。
その中で覚えて、オーディションします。
順番は、番号の若い順に行います。
それでは、振り入れするので隣のレッスン室に移動して下さい』
突然、控え室のドアが開いた。
スーツを着た男の人が入って来て、これからの流れを説明してくれた。
みんな、顔つきが変わった。
ゾロゾロと移動していくみんなの姿を、どこか遠目にボーッと目で追っていた。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年1月1日 0時
