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目の前には、少量のパンが置いてある。
たったの二口だけど、私にとってはされど2口。
これさえ食べられないなんて…と落ち込みそうになる気持ちを奮い立たせる。
大丈夫、ちゃんと前に進めてる。
そうやって、心の中で自分を鼓舞しながら口を動かす。
そしたら何だか、少しだけ自信がついた気がしなくもない。
A「もうお腹いっぱい…」
大島「うん、よく頑張りました〜」
A「どれくらい食べられた？」
大島「パンは、3分の1くらい食べられたね。
あとは、スープも同じくらい飲めた。
サラダも卵も、1口ずつ食べられたし。
すごいね、ちゃんと全部のお皿に手付けられたよ」
A「良かったぁ」
大島「結構食べたけど、気持ち悪くなったりしてない？」
A「気持ち悪くはないけど、喉乾いてる…」
大島「まだ喉渇く？」
A「うん…」
大島「じゃあ、歯磨きついでにうがいしようね」
A「うん…」
大島「どした？何か不安なことでもある？」
A「私…本当に病気じゃない？」
大島「大丈夫、病気じゃないよ。
心が元気になったら収まってくるからね」
A「こんなに口の中、熱くなったりしない？」
大島「気持ちが落ち着けば、徐々に収まってくるよ」
A「ほんと？」
大島「うん、ほんとだよ」
A「分かった」
大島「何か少しでも不安なことがあったら、優子先生に教えてね」
A「うん」
大島「ご飯の時間、まだ怖いかな？」
A「怖くないって言ったら、嘘になるかな」
大島「そうだよね…」
A「でも、いつもよりストレスなく食べられた。
優子先生すごいね、ありがと…」
大島「Aが頑張ったからだよ〜」
A「んーん、そんなことない。
優子先生の、ちょっとずつ作戦がなかったら無理だったもん」
大島「これから暫くは、一緒にご飯食べようね」
A「ありがとう」
今日の朝ご飯、優子先生が一緒に食べてくれることになったんだ。
昨日の夜の話の延長で、ご飯がストレスと言う話題に発展した。
そしたら、明日は一緒に食べようって、優子先生の方から提案してくれたんだ。
ものすごい忙しいはずなのに、優子先生は本当に優しい。
そんな優子先生のちょっとした工夫のおかげで、いつもより食べられた。
喉の乾きが取れないのは気になるけど、病気ではないらしい。
心が回復すれば治るって言ってもらった。
優子先生は嘘つかないから、信じてみよう。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2022年7月1日 18時
