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麻衣「じゃあA、優子先生の方見ててね〜」
大島「こっちにお顔、見〜せてっ!」
A「うぅ……ヒック」
麻衣「ごめんねぇ、ちょっと触らせてね」
大島「大丈夫よぉ、力抜いてね〜」
麻衣「う〜ん…」
大島「見えない?」
麻衣「血管が元々細い上に、緊張で余計に縮こまっちゃってて…」
大島「どれどれ?
…あ、ほんとだ、これは難しいね」
駆血帯を巻いたまでは良かったんだけど、そこからストップ。
どうやら、血管が見えないらしい。
ただでさえAは、細くて血管が見えにくいからね。
だから、痛みが強く出ちゃうっていうのもあるんだけど…
腕の隙間から私もチラッと確認したけど、全然見えないや。
大島「Aちゃん、ちょっとだけ立てる?」
A「何するのぉ…ヒック」
麻衣「A今さ、すっごくドキドキしてるじゃん?
だからね、血管もキュって縮んでるの。
でもそれだと、針刺したら痛くなっちゃうから。
ちょっと立って、リラックスしてみよっか」
A「わかった…」
大島「腕ブラブラ〜ってしてごらん?」
麻衣「あとは、グーパーって繰り返しやってみるといいかも」
A「はぁい…」
あまりに緊張してるから、少しストレッチをして筋肉をほぐすことに。
私も補助しながら、タイミングを伺う。
数分やってたら、だいぶ硬直が解けてきた。
今なら、採血しても大丈夫かな。
大島「よし、じゃあそろそろ座ろっか。
ゆ〜っくり深呼吸して、私のこと見ててね〜」
麻衣「ごめんね、少し冷たいよ〜」
A「んぅ…」
麻衣「ちょっとチクってするからね〜」
A「ったい…ヒック」
大島「大丈夫だよ〜、頑張れてるよ〜」
A「…ヒックヒック」
大島「あらAちゃん、上手だねぇ」
麻衣「うん、いい感じいい感じ〜
……はーい、これでおーわり♪」
大島「終わったって!」
麻衣「よく頑張りました〜」
A「いたかった…ヒック」
大島「でも、よーく頑張れてたよ〜」
麻衣「頑張ってくれてありがとう〜」
A「ぅん…ヒック」
あっという間に、採血終了。
少し泣いちゃったけど、本当によく頑張ってくれました!
今までのAからは想像もできないくらい、ハイスピードに検査が終わったよ。
まいやんが片付けに行ったから、私はAを宥めようかね。
白衣をギュッて掴んじゃって、本当に可愛い…笑
こういうとこ、ずっと変わらないしあざといなぁ…
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2022年5月8日 22時