泣いて笑って、それでも私は坂を上る⊿ 50 (ページ46)

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12人が、ここにいる奇跡ページ46

＿2016年 9月4日

乃木坂46に、3年ぶりに新メンバーが加入した

過去最高の倍率を突破した12人の3期生

多くのメディアで、大々的に報道された

眩しいスポットライトを浴びる少女達

その中でも、彼女は別格だった

(大園桃子オーディション映像)

(3期生お披露目の記念撮影)

殺伐とした審査会場

彼女は、ずっと泣いていた

歌えない、答えられない、踊れない…

鹿児島からやってきた1人の少女は

都会の喧騒を前に立ち尽くしていた

当時のことを、乃木坂46総合支配人の今野義雄はこう語る

「ハッキリと覚えてますね。

大丈夫かってくらい、ずーっと泣いてました。

でも、やることはやるんですよ。

泣いてても、歌おうとマイクは握るんです。

とりあえず、手足は動かすんです。

泣きながらでも、質問に反応は示すんです。

面白いな子だなって思いましたね。

何千人と見てきたけど、こんな子初めてでした。

これから先も、きっと出会わないと思います。

ただ、運命だったんです」

ただの運命でしかなかった

泣いてばかりの鹿児島の少女は

満場一致の合格を決めた

何万人もの応募の中から、トップ通過をした

しかし、それからの道は簡単ではなかった

(三番の風 MV撮影の映像)

(3期生お見立て会の映像)

(プリンシパルの稽古の映像)

待ち受けていたのは、想像を絶する世界だった

少ない睡眠時間に、膨大な振り付けや歌割り

次から次へと目まぐるしく変わる環境

そして決定打となったのは…

(逃げ水選抜発表の映像)

表題曲のセンターに抜擢されたことだった

2017年に発売された、18枚目シングル

2017年というと、乃木坂は飛躍の年だった

前作インフルエンサーで、日本レコード大賞を受賞

ミリオン達成を連続で成し遂げた

そんな、人気上昇中のグループのセンター

彼女にとっては、重すぎる使命だった

(2017年真夏の全国ツアー映像)

(シンクロニシティMV撮影)

(SingOut選抜メンバーライブ映像)

(しあわせの保護色MV撮影)

(友情ピアスMV)

ただ、彼女は逃げなかった

頬を濡らしていた涙は、いつの間にか止まっていた

完全ではない自分

不完全で、不安定な自分

彼女は誰よりも、自分自身と向き合った

時には、向き合いすぎて辛くなることもあった

それでも、ここにいることを選択した

もう少しだけ頑張ってみると決めた

そう決めてから、約2年

ここに来てからは、5年の月日が経過していた