泣いて笑って、それでも私は坂を上る⊿ 46 (ページ31)

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そして、ライブは終盤戦へと進む。

全員センター企画が終わり、ここからは怒涛の未央奈の思い入れ曲。

彼女から、ハルジオンが咲く頃を歌うと聞いていた。

＿これは、私にとっても思い出の曲

選抜復帰の曲でもあるし、Aと初めて選抜に入った曲だから

私たちの夢が叶った時の思い出だよ

未央奈は、この曲をそう言ってくれてた。

私にとっても、この曲は思い出だった。

いつか選抜で一緒に歌おうと約束したあの日。

どちらからともなく言い出した。

すれ違いの多かった日々を乗り越え、夢は叶った。

初めて、同じ歌番組に出た。

MV撮影に未央奈がいた。

合間にたくさん、写真を撮ったね。

この曲は、私と未央奈の約束の曲でもある。

最後に披露してくれて、本当にありがとう。

そして、本編ラストはこの曲だった。

2期生のために作られた曲、撮られたMV。

初めて聴いた時は、ずるいと思った。

この歌をこの子達に歌わせるのはずるい。

去年のライブが終わった後、感想を問われて素直にそう伝えた。

その時のことを思い出した。

:

堀「どうだった？」

A「新曲？」

堀「そうそう、ゆっくりと咲く花」

A「正直に言っていい？」

堀「いいよ」

A「ずるいと思った」

堀「ずるい？」

A「ずるくない？

ゆっくりと咲く花なんて、そんなのずるいよ。

スピードは大人が決めたことなのに、2期生がそうだったかのように聞こえる。

私は、あの曲をこのメンバーに歌わせるのはずるいと思う。

なんだか、結果論な気がしちゃう…」

堀「やっぱり、Aにはそう聞こえるんだね」

A「ごめんね…」

堀「ううん、ちょっと嬉しい。

その言葉は、2期生のことを本気で思ってくれてないと出ないから。

2期生のこと、ちゃんと見ててくれてありがとう。

そう言ってくれて、すごく救われた」

A「え…」

堀「いつもありがとう、2期生の味方でいてくれて」

:

あれからしばらくは、この曲が聴けなかった。

その間に、この歌の意味を考えていた。

それでも、答えは出なかった。

けど、今日分かった。

みんなが優しそうな顔して歌ってる姿を見て。

＿何にもなかった野原に私たちの花

これが、2期生の答え。

ずるかったかもしれない。

でも、そのずるさなんかどうでもいいくらい、立派に咲いた。

見ててくれてありがとう。

努力、感謝、笑顔の花。

遅咲きだったかもしれないけど、立派に咲いたから。