泣いて笑って、それでも私は坂を上る⊿ 46 (ページ4)

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【アンコール前舞台裏】

＿コンサートは、アンコールに差し掛かっていた

アンコールは、白石のソロ曲から始まった

広い会場の真ん中に、1人佇む白石

対照的に、舞台裏ではメンバーが集まっていた

中でも、この2人は一緒にいた

終演後の2人に、その理由を尋ねてみた

「アンコールの時は、2人でずっと一緒にいましたね」

A「いましたね〜」

「それは、お互いに一緒にいようみたいに打ち合わせしてたんですか？」

松村「してないです、気づいたらAが隣におってくれました」

「どうして、松村さんの隣に行ったんですか？」

A「う〜ん…特に理由はないですよ。

ただ、一緒にいたいと思ったから。

崩れそうになった時、気づいたらさゆりんを探してました」

松村「私も崩れそうやってんけどな。

Aが来てくれた瞬間、落ち着いてん」

A「ほんと？」

松村「うん…めっちゃ嬉しかった」

＿松村さんとAさんは、ずっと一緒にいた

アンコール中、片時も離れずモニターを見ていた

Aさんが、松村さんを探して差し出した手

その手は、しっかりと繋がれていた

「松村さんの手を、ずっと握ってましたね」

A「私がさゆりんと手繋ぎたかったから…」

「おぉ…」

A「えぇ、なんか納得いってなさそう〜笑」

「いや、わざわざ探して駆け寄ってたから、何か意味でもあるのかなって…」

A「えへへ〜、じゃあ内緒ですよ…？

意味ってほどのことでもないんですけどね。

さゆりんが、麻衣ちゃんにそうしてくれたからっていうのが大きいです。

見たことあるんです、さゆりんが麻衣ちゃんの手握るとこ。

わざわざ探して、ギューってしてて。

その時の麻衣ちゃん、すごく嬉しそうだったというか…

安心した顔してたから、そのお返しです。

さゆりんのそういうとこ、私大好きなんですよ。

その姿見て、私決めてたんです。

さゆりんが寂しい時は、傍にいるって」

「なるほど」

A「でもおあいこです、私もさゆりんといたかったし…」

「2人の思いが繋がってることが分かりました」

A「さゆりんもそう思ってくれてたら嬉しいな…」

「松村さんに、その思いは伝わってるはずです」

A「さゆりんには、笑っててほしいから…」

＿内緒話をするように教えてくれた

無邪気な笑顔が、余計に切なさを感じさせる

ただ黙って、そばにいる

これが、2人なりの悲しみの忘れ方なのかもしれない