ゆっくりと、花は咲いた ページ30
どこか重たい気持ちを抱えながらも、この日がやって来た。
2期生ライブ本番。
そして今日、未央奈は乃木坂を卒業する。
ライブ前、私は未央奈に何も伝えなかった。
今言うべきじゃないと思ってたから。
ただ、固唾を飲んでその瞬間を待っていた。
開演前、純奈からこんな連絡を貰った。
:
純奈「あのね、2期生ライブでサヨナラの意味歌おうと思う」
A「そっかぁ」
純奈「これがラストチャンスだと思うからさ…」
A「去年、本当は歌う予定だったんだもんね」
純奈「そうだね」
A「良かったよ、ほんとに。
純奈が夢を叶えてくれて嬉しい…」
純奈「ありがとう」
A「配信で見てるからね」
純奈「うん……あのさ」
A「ん？どうした？」
純奈「橋本さんも、見ててくれてるかな」
A「奈々ちゃん？」
純奈「うん、恐れ多くも連絡させてもらったんだ。
サヨナラの意味、センターやらせてもらいますって」
A「見ててくれるよ、奈々ちゃんは。
橋本奈々未はそういう人だもん」
純奈「そうだよね」
A「純奈の思い、全部ぶつけて来な」
純奈「余すことなく伝えて来る」
A「じゃあ私は、こぼすことなく受け止める」
純奈「いつもありがとう」
A「楽しんでね」
去年行われた、幻の2期生ライブ。
本来の形式でライブができていたら、全員センター企画をやる予定だった。
そこで純奈は、サヨナラの意味をセレクトしてた。
1年間、ずっと心の奥にしまい込んで来た歯がゆさ。
それを今日は、存分に発揮してほしい。
純奈のパフォーマンスが、素敵なものになるといいな。
:
＿これがラストチャンスだと思って披露します
そう言って始まった、彼女の企画。
真ん中には、美しく佇む1人の女性がいた。
凛々しくて強くて、どことなく儚い。
その立ち姿は、思わずそこにいた人を連想させた。
きっと、そう感じた人は多いと思う。
＿守りたかった愛に代わるもの
最後のその詩を歌った時、正面からカメラが入った。
画面いっぱいに、センターの顔が映る。
彼女は、一筋だけ涙を流していた。
気づけば、私も同じだった。
涙が頬を伝っていた。
その涙の理由は、1つじゃない。
1年越し、憧れも含めたらそれ以上。
やっとやっと、その夢が叶った喜び。
ここに来るまでの努力や葛藤。
もどかしさも含めた、全感情が溢れた涙。
＿＿でも、それ以上の何かを知ってしまった
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美紀(プロフ) - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2021年7月14日 20時) (
レス) id: e19dcb272d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2021年7月11日 22時
