もう頑張れないよ… ページ27
山下side
山下「…っと」
麻衣「よく頑張りました〜」
A「…ｯｸ」
麻衣「美月、Aのこと私の背中に乗せてもらっていい？
多分もう歩けないだろうから、私おんぶしちゃうね」
山下「分かりました」
麻衣「A、楽屋まで行こうね」
山下「白石さんが運んでくれるって」
A「ん…」
麻衣「ちょっと揺れるけど我慢してね〜」
誰もが目を疑うど根性で、何とか今日の全日程を終えたA。
本人にとっては、トラウマになってしまったであろう握手会。
少し離れていた私のレーンにも、その騒がしさは届いていた。
内容を聞いて、思わず息を飲んでしまったくらい。
それでも彼女は、ステージに戻った。
待っていてくれる人を、しあわせにするため。
自分の持つ余力の全てを、その足に込めて。
ともすれば崩れそうになる心を、一生懸命に奮い立たせて。
その無理は、終わった途端に歪みとして襲いかかる。
満身創痍の彼女は、歩くことすら困難だった。
麻衣「A、楽屋着いたよ。
もう帰れるけど、お着替えできる？」
A「みづきぃ…」
山下「ん？どした？」
A「私やっぱり…美月の相棒にはなれないよ」
山下「何でそんなこと言うの？」
A「もう辞めたいの…」
予想出来なかったと言ったら、嘘になる。
でも、本人の口から聞くその単語は重くて。
思わず、口を噤んでしまった。
今朝、彼女に送ったメッセージ。
これからも、私の相棒でいて下さい。
その願いが、こんなにも呆気なく消え失せそうになるなんて…
あの時は、思っても見なかった。
だからこそ、彼女を傷つけた人が憎い。
A「応援してくれてる人を大切にする。
もちろん、私だってそう思ってるよ。
でも、それは言い聞かせてるだけなの。
私だって人間だから。
大勢の声援より、1人の暴言の方が心に残る。
あの人に言われたことが、ずーっと頭から離れない。
もう、ステージに立ちたくないくらい苦しいのっ…
キャプテンだけじゃない。
乃木坂も辞めちゃいたい。
何もかも捨てて、楽になりたい。
そう思っちゃう私は、アイドル失格だよね」
自嘲気味に笑う姿が切なくて。
目を閉じたら、次の瞬間にはいなくなってしまいそうだった。
それくらい、目の前の少女は儚くて、危うい。
彼女が消えちゃうのが怖くて。
思いっきりその痩せ細った体を抱きしめた。
彼女の匂いに包まれた腕の中、溢れる涙が止まらなかった。
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美紀(プロフ) - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2021年3月18日 13時) (
レス) id: e19dcb272d (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - コメント返信ありがとうございます！そうなんですね！どっちのコンビも好きなので今後がより楽しみになりました！飛鳥ちゃんのお話楽しみにしてます！ (2021年3月15日 22時) (レス) id: 04eb34e649 (このIDを非表示/違反報告)
優花(プロフ) - いつも楽しく読まさせていただいています。出来ればでいいのですが、みりあちゃんの絡みをかいてほしいです！ (2021年3月13日 15時) (レス) id: 9cbfa386bc (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - maryさん» そして、ご質問のお答えです。山下さんが相棒になり、飛鳥さんは戦友というポジションかなと勝手に思っています。私の中では、白西のような関係性を想像してます。山下さんとは、白橋のような関係性になれたら、と思ってます。飛鳥さんとの絡み、これからも出てきますよ (2021年3月12日 22時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - maryさん» 嬉しすぎるお言葉、ありがとうございます。この部分は、この小説を書こうと思った時に1番最初に思いついた骨組みだったので、そう言って頂けてすごく嬉しいですし、励みにもなります！かなりドキュメンタリーっぽく表現することを意識しました！ (2021年3月12日 22時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2021年3月8日 15時
