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『はいA、これななみんから…』


「うぅ…ありがとうございます」


『サプライズやね』


「こんなサプライズ…ずるすぎっ」


『それが、Aの大好きな橋本奈々未やろ?』


「うん…っ」


『もうスタジオでは、写真撮影終わったらしいから。

これ、食べて大丈夫やって』


「勿体なくて食べられない…」


『あはは、そうやんな笑

じゃあ、みんなが来るの待ってる?』


「ん…待ってる」


『分かった、じゃあ冷蔵庫閉まっとくな』


「ありがとぉ」




いくちゃんのバースデーソングが、玲香のおめでとうの声が…

ななみんのガラス越しに微笑んだ顔が、目の前に運ばれてきたケーキが…

全部、全部キラキラ輝いていて。

そしてそれは、ダイヤモンドダストのように刹那に消えて。

儚い思い出に、視界がぼやけた。




:




橋本「A、お誕生日おめでとう。

16回目のお誕生日を、こうやってお祝い出来て嬉しいです。

乃木坂に入ってからだと、もう6回目のお祝いになるのかな?

早いね、そんなたくさんお祝いしたんだね。

11歳だったAも、もう高校生かぁ…

ランドセル背負ってたのにね…時の流れって早すぎだわ」


桜井「そうだねぇ、あっという間だね」


生田「うん、早かったね」


橋本「A、生まれてきてくれてありがとう。

乃木坂で私と出会ってくれてありがとう」




生まれてきてくれてありがとう。

ななみんは、毎年こう言ってくれる。

お誕生日おめでとうメールの文頭も、毎年これだ。

今年の誕生日も、深夜0時ちょうどにそう来た。

私は、この構文が大好きだ。

いつも1番にメッセージをくれるななみんが、私は大好きだ。




橋本「17回目も、お祝い出来たら良かったんだけどね…

17歳のお誕生日おめでとうって、言ってあげたかったんだけど。

それは叶わないから…ごめんね。

…はい、えっとですね…

選抜発表があって、私が16枚目シングルのセンターをやらせてもらうんですけど。

その時点で、察した方もいらっしゃると思いますが…

私、橋本奈々未は、16枚目シングルの活動をもって乃木坂46を卒業します」




ななみんが、卒業発表にこの日を選んだ理由が分かった。

私たちにとって、唯一無二の記念日にするためだ。

お誕生日おめでとう、卒業おめでとう。

そう言い合えるのは、私達2人だけだから。

お互いにとって、一生忘れられない日になるだろう。

2人だけの特別な日を、ななみんは16回目の誕生日プレゼントにしてくれた。

プレゼントは喜びだけじゃない→←2人だけの記念日



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年5月5日 23時

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