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松村「Aは…ななみんにたくさん救われてきたんやね。

正直、知らなかったこともあった…

私もAのこと、知ってるつもりでいた。

理解出来てるつもりでいたけど、それは虚構やった。

ななみんは…Aを生かしてくれてたんやね」


「ななみんがいたから…っ

わたし…ちゃんと生きて来れたの…っヒック

逃げられる場所があったから…ヒックヒック

だから私は…もうちょっと頑張ってみようって…!

アイドルだけじゃないよ?

人として、もう少し頑張って生きようって思えたの…ヒックヒック」


白石「A…」


「分かんないの…っ!

せっかく最近、私なりに前向けるようになって…

頑張ってみようって、自分で決められることが増えて…っ

ちょっとだけ、強くなれた気がしてたのに…

もう自分でも、自分の意思で選択出来るって思ってたのに。

生きることを諦めるなんて、もうないだろうって思ってたのに…っ!

わたし…やっぱり無理…っ!

ななみんいなくなっちゃうの、怖い…っ!

その後の未来で、私はアイドル続けられてるのかな…」




まだ一緒にやりたかった、もっと色んなことを成し遂げたかった。

理由は、私達と同じようにたくさんある。

それでもAには、私達とは決定的に違う理由がある。

ななみんに、生きる道を拓いてもらったこと。

彼女にとっては、アイドル生活云々より人生そのものだったのだ。

橋本奈々未という1人の人間が、彼女の傍には必要だった。

不安定な闇に堕ちたとて、救い上げてくれる存在。

アイドルとして、人として未来に向けて希望を持って歩ませてくれる存在。

彼女にとって橋本奈々未は、メンバー以上の恩人なのだ。

生きてきた道を知ってるからこそ、不安に思うのは当然だ。




白石「怖いよね…」


松村「ななみんは多分、今のAなら大丈夫って思ったんやと思う。

でも、残される方は違うよね。

これからどうすれば良いんだろうって、不安にもなるよね…」


「ん…っ」


白石「…私達じゃダメかな。

ななみんの代わり、私達じゃダメかな。

全く同じにはなれないけどさ。

2人いれば、どうにか支えられそうな気がするんだぁ」


松村「うちらだって、Aの手離さんで?」


「まいやん…さゆりん…っ」




次は、私達の番や。

彼女の道標になる役目、私達で担おう。

親友から受けたバトンを、落とさぬように。

彼女のゴールテープまで、大事に運べたらええな。

いや、うちら2人で大切に繋ぐんや。

この波を越える方法→←バトンを繋ぎたい



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年5月5日 23時

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