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私の言葉を、少し視線を下げながらも聞いてくれた。

合わない目線が、彼女の抱える寂しさの深さだ。

それでも、一生懸命に咀嚼している。

襲いかかる荒波を越えようと、バランスを取ってしがみついている。




「自由になるって、タイミングなんだよね…

それは、私が1番分かってる。

周りがどうのこうのとか、もう少し周りの情勢を見ようとか、そういうんじゃない。

自分のタイミングがあるんだよね。

私にとっては、今この瞬間しかないって思える時がある。

ななみんにとって、それが今なんだと思う。

だから止められなくて、でも卒業して欲しくないから…

何より、ななみんがやり切ったって知っちゃったから。

私が一緒に景色を見たいって言うのは、私のエゴなの。

もう少し一緒にいて欲しいって、それは私の都合なんだ。

私のわがままで、ななみんを困らせるなんて出来ないからさ…」


白石「わがままじゃないよ。

私だって、まだななみんとやりたかったことあるよ。

見たかった景色もあるし、一緒に超えたかった目標もある。

御三家でやりたかったこと、まだまだたくさんあるんだ。

いつか叶えられるって信じて来たからさ。

いきなり、それが閉ざされちゃって…

ちょっとまだ、気持ちの整理が付けられてない。

どうして今なのって…私も不安だよ。

これから乃木坂はどうなっちゃうんだろうって。

私は、誰に背中を預けて懐を任せれば良いんだろうって。

Aとはまた、違った種類の不安を感じてる…」


「まいやんも…?」


白石「そりゃもちろん。

私だって、ななみんがいなくなるの不安。

ずっと、ななみんに支えてもらって来たの。

弱音吐いても、ななみんは黙って聞いてくれた。

安心して泣けたし、そんな私をななみんは無償に受け入れてくれた。

甘えたり素を見せられたり、本当のお姉ちゃんみたいだった。

私も、ななみんがいなくなった乃木坂で頑張れるか分からない…っ」


「まいやん…」


白石「ごめ…っ」


「んーん、一緒に泣こ…?」


白石「…っ」




Aの本音に触れたら、閉じ込めていた自分の気持ちが溢れていた。

相棒だと思って、背中を預けて来た。

安心して頼れる背中。

なくなってしまったら、私はどうやって前に進めばいいんだろう。

私はこれから、誰に背中を預ければいい…?

2人で泣きじゃくっても、答えは出なかった。

答えが出なくてもいい。

ただひたすら同じ温度の涙に溺れるだけで、心が少し落ち着いていった。

バトンを繋ぎたい→←答えは涙に滲んで



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年5月5日 23時

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