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答えは涙に滲んで ページ36

白石side


「まいやんは…知ってたよね?」


白石「うん…知ってた」


「ななみんが…っ」


白石「おいで、A」




ななみんから、今日Aに絶対に言うと伝えられてから一夜明けた。

ちょっと前に、私ともう1人の親友は聞いていた。

みんなに伝える前に、Aにも言う。

そのタイミングを伺って、ゆっくり決心を固めて。

やっと、昨晩言えたらしい。

翌朝1番に会ったAの顔を見れば、全部分かってしまった。




「ななみんが、乃木坂じゃない場所に行きたいことは知ってたよ。

ずっと前から、それは分かってた。

だけど、何もこのタイミングで抜けなくても…

3期生も入って来て、乃木坂は来年にかけて更に勢い増すっていうのに…

ななみんいなくなっちゃったら…っ」


白石「きっと、完全に流れに乗る前に去りたいって思ったんだろうね。

波に乗り切ってからだと、そこから降りられなくなっちゃうから。

そうなってからだと、もう遅い。

私はななみんと同い年だから、その気持ちちょっと分かるな…」


「えっ…」


白石「あぁ大丈夫、私は卒業したりしないよ。

しないけど…うん、気持ちは分かる。

ましてななみんみたいに、芸能界に興味がなかった子はね…

自由になりたいって思うんじゃないかな」


「うん…」


白石「でももちろん、Aの気持ちも分かるよ。

残される側が寂しいってこと、今すごく実感してる。

まいまいの時もそうだった。

寂しくて、その日が来ることが信じられなかった。

けど今回は…ちょっとそれ以上かもしれない。

ななみんは御三家で、ずっと一緒にいてさ…

初期からポジションも近くて、ユニットもやって、プライベートでも仲良くて。

そんな存在がいなくなっちゃうなんて…

まだ、現実だって受け止めきれてないんだ」




ななみんの気持ち、私にもちょっと分かる。

人気が上がってる途中段階の今なら、まだギリギリ間に合う。

大海に出てしまってからは、船を降りることは不可能だから。

だったら、その前に降りてしまおう。

ななみんは、タイムリミットすれすれで降車を選んだのだ。

Aにそれを伝えるのは、少し酷な話かもしれない。

まだAは、15歳と若い。

あと数週間で16歳だなんて、アイドルとしてまだまだこれから。

だから、いきなり卒業と言われても、次のステージと言われても…

実感が湧かないのも無理ない。

彼女が先頭で舵取りをして来た船を、1番の理解者が降りてしまうのは怖いはずだ。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年5月5日 23時

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