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ずるい愛情 ページ32

__私、乃木坂を卒業するの






嘘だと思った。

いや、嘘だと言って欲しかった。

来年も、そのまた来年も。

同じ景色を見られると思ってた。

同じ景色を見たいと思ってた。

一緒にAKBさんを追いかけようって。

Aの見たかった景色、私も一緒に見るって。

そう言ってくれると思ってたのに…

その夢が叶う前に、いなくなっちゃうの…?

頭が理解するより先に、心が理解したらしい。

涙が溢れるのを感じていた。




「…どうして?

今、乃木坂は勢いに乗って来てる。

こんな絶頂の時に卒業って…

私、まだななみんと叶えたい夢たくさんあるよ…っ?

一緒に見たい景色、いっぱいある…!

せっかくAKBさんで最後の夢見つけて…

叶えよう、頑張ろうって思えて。

そこから見た景色を乃木坂に持ち帰って、更に上に行こう。

坂を上ろうって思ってたのに…っ

なのになんで…なんで今なの…っ!」


橋本「…ごめんね」


「嫌だ…っ!」


橋本「ごめんねA…

急にこんなこと…しかも、Aが次の夢見つけたのに。

このタイミングで卒業なんて…ごめんね」


「そうだよ…!

どうして卒業するの?

乃木坂が嫌になったから?

もっと別のことしたくなかったから?

それとも…もう芸能界に未練がなくなった?」


橋本「違う…違うのA」


「じゃあどうしてなの…っ!

ちゃんと理由言ってくれなきゃ…!

私が納得出来るように説明してくれなきゃ嫌だ…っ!

そうじゃなきゃ、私は納得出来ない!」


橋本「これは、私のわがままなの。

Aに言ったら、何も言えなくなっちゃうかもしれない。

理由聞いたら、ずるいって思っちゃうと思う。

分かってるから、言えなかったの。

私のこと嫌いになるかもしれない。

ずるい人間だって、軽蔑するかもしれない。

今までみたいに仲良くしたいって思えなくなるかもしれない。

…それでもいい?」


「…っ」




こんなこと言ったら、困らせちゃう。

ななみんが、一時の感情に流されて決断したわけじゃないことくらい、重々承知だ。

きっと、もっとずーっと前から考えて。

悩んだり葛藤したりしながらも、悟られないように活動してたんだと思う。

それでも、私はその理由を聞きたくなかった。

筋が通ってないわけない。

納得させる絶対的な理由を持ってるに決まってる。

そしたら、止められないって分かってたから。

私は、何にも言えなかった。

反応できない私の瞳をじっと捉え、ななみんは言葉を紡いだ。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年5月5日 23時

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