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言いたくて、でも言えなくて ページ30

橋本side


「久しぶりのななみん家だ〜」


橋本「確かに久しぶりだね」


「ごめんね、急に行きたいとか言っちゃって。

予定とか大丈夫だった?」


橋本「うん、全然大丈夫。

何なら、私からも声かけようと思ってたの。

今日、家に来ない?って」


「あらやだ、奇遇だねぇ」


橋本「そうだね」


「やっぱ私たち、心の底から繋がってるのかなぁ…

家に行きたい、来て欲しいって思うタイミングまでバッチリなんて」


橋本「そうかもね…笑」




もう季節は10月になっている。

ずっと、ずっと言わなきゃって思ってた。

何度もシュミレーションして、頭の中でイメトレして。

どんな風に切り出すか、言葉はどうするか。

慎重に選んで準備して、やっと今日を迎えたはずなのに…

もっと前に言うつもりが、何度も自分に言い訳して。

今日まで伸ばして、色んな人に背中を押してもらって。

覚悟を決めて、彼女を家に呼んだのに。

本人を前にしたら、何にも言えない。

練習してきたこと全てが、頭の中から抜け落ちた。




「そう、それでね…今日話があるって言ったのはね。

私、1年を目処にAKBさんとの兼任を解除するんだ。

もう私の役目は終わったかなって思ってさ。

自分のスケジュールでいっぱいいっぱいで。

でもそれは、乃木坂が大きくなったからのことで。

うん…次は私も、みんなと一緒にAKBさんを追いかけようって思って。

自分で考えて、自分で決めたんだ」


橋本「…そう」


「あとやっぱり、乃木坂の活動に専念したいって思っちゃってさ。

まいまいが卒業してからくらいかな?

その時も私、AKBさんと行ったり来たりで。

総選挙もあったしで、なかなか乃木坂に専念できなくて。

まいまいの卒業も、バタバタと見送る感じになっちゃって。

それがずっと続くってなったら、後悔することになりそうで…

なんか…嫌だなって思っちゃったんだ。

私は乃木坂46だから、メンバーの旅立ちは同じ時間を共有したいって」


橋本「そっか…そうだよね」


「うん、そう思って自分で相談した。

ママにもまだ、何にも言ってないんだ。

もちろん、公になるまで言うつもりもないよ」




先に、こんなこと言われてしまっては…

あまりの成長ぶりに、私は曖昧に頷くことしか出来なかった。

次にこれを聞いたら、彼女はどう思うだろう。

泣いてる顔は、見たくない。

躊躇いの渦に飲み込まれそうな私を、今度は彼女の心配顔が覗く。

目を合わせたら、堪えられない気がした。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年5月5日 23時

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