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『挨拶に来た時は、こーんな小さかったのにねぇ』
「もう高校生ですもん笑」
『だよねぇ、俺も歳取るわけだわ。
こんな長い期間、ほんとありがとうね』
「ありがとうはこちらのセリフです。
AKBさんで学ばせてもらったおかげで、乃木坂は何とかここまで来ました。
まだまだ全然、追いつけないですけどね…」
『いや、今の乃木坂はもう十分、AKBのライバルだよ。
越えられるのも時間の問題だって、戦々恐々としてるもん』
戸ヶ崎さんは、親戚のおじさんのような感覚で接せる大人だ。
右も左も分からない状態の私を預かり、ここまでにしてくれた。
直接何かを言うより、後ろから温かく見守ってくれていた。
そのおかげで、私も乃木坂も成長することが出来た。
今日もこうやって、優しく向き合ってくれて感謝しかない。
『Aは、いつまでいたい？』
「わがまま…言ってもいいですか？」
『もちろん、出来ることなら全然聞くよ』
「…来年の総選挙に、出たいです。
今年、5位っていう順位を頂きました。
最後に1度だけ、1位を目指す挑戦をしてみたいんです」
『…うんっ』
「えぇ待って、泣かないで下さい笑」
『まさかAから…そんな言葉が聞けるなんて思わなくて…っ』
「私まで泣いちゃう〜っ」
今は10月。
こじはるさんの卒業が2月にある。
そこまでは門出を邪魔しないために、絶対いると決めていた。
その後のAKBさんで、見たい景色。
それは、総選挙での1位の景色だ。
どこまで行けるか分からないけど、せっかく頑張って来たんだから。
1度くらい、1位を目指す挑戦をしてみたいと思ってしまった。
「まだ見たい景色があったんですよね…笑
ほんっと、わがままなんですけど。
やっぱり私、AKBさんのファンだから。
こじはるさんの卒業は絶対に見届けたい。
そこまで来たら、総選挙も…うん。
ファンの皆さんと頑張りたいなって思います」
『もちろん、喜んで。
総選挙シングルは、夏から秋に発売される。
そのリリース期間を目処にするとはどう？』
「あと1年くらいですね…
こちらこそ、よろしくお願いします」
『色々、メンバーとの兼ね合いがあるんだけど…
詳しくは、これから徐々に決めてこうね』
「はい！」
あと1年。
私の使命は、最後の瞬間までAKB48として輝くこと。
乃木坂のため、AKBさんのため、自分のため、そしてファンの方のため。
全部の思い出を噛み締めて、まだ見ぬ景色を探しに行こう。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年5月5日 23時
