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最後に見たい景色 ページ25

『僕が反対するのは、Aの意思じゃない時だけだから』


「あ、だからあの時は…」


『うん、Aの意思じゃなかったから。

お母さんに言われて辛かった、もう止めて欲しかった。

その時の感情を任せて言ってるんだろうなって。

そしたら、Aは将来的に絶対後悔すると思ったし。

取り返しが付かなくなった時に絶望する。

だから、あの時は反対したし止めたんだよ』


「…本当にありがとうございました」




投げやりになってた時期、自分の理性が効かなくなっていた時期もあった。

その時、私を揺さぶって現実に引き戻してくれたのは今野さん。

私が後悔するって分かってたから。

あの時、がっちりと次手を掴んでくれたから。

今、清々しい気持ちで自分の道を決められている私がいる。




『今はどう?やり切った?』


「うん…ほとんどやり切ったなって」


『ほとんど?』


「やっぱりまだ、やりたいことはあるので。

だから私も、今すぐ兼任を辞めたいってわけじゃないんです。

嫌になったわけじゃないし、スケジュールはぶっちゃけ二の次なんです。

私の気持ちと、グループの状態の問題なんです」


『そっか、限界を迎えたわけじゃないなら良かったよ』


「このままだと限界を迎えそうだから…笑

楽しく笑顔で終われるうちにと思って。

大好きな場所の記憶は、大好きなままで終わらせたいから…」


『うん、いい事だと思う。

ちゃんと自分でコントロール出来るようになって偉いね。

分かった、僕の方から戸ヶ崎さんに伝えておくよ』


「ありがとうございます」




自分の意見を伝えて、それを認めてもらうってこんなに嬉しいのか。

本音を受け止めてくれるって、こんなに安心するのか。

無意識に背負い続けて来た肩の荷が、フッと軽くなった気がした。




:




『A、今野さんから話は聞いたよ』


「…どうでしょうか?」


『AKB側としてはね、手放すのは惜しいんだけど。

でも、Aの元の所属は乃木坂だからね。

いつかはこの時が来るって思ってたし。

うん…今までありがとうございましたって感じです笑』


「そんな、こちらこそです…!

私は、AKBさんで育てて頂いたので…

手放すのが惜しいと言って頂けて光栄です」




戸ヶ崎さんも、すんなり了承してくれた。

なんなら、手放すのが惜しいとまで言ってくれた。

兼任を始めた時、未来にこんな自分がいるなんて思ってもいなかった。

頑張って来て良かったと、心の底から思えた。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年5月5日 23時

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